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日々の呟きとか小ネタとか。 現在は転生話が中心…かと。
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ちょっとした小話のはずが。長くなったので分けました。
分けたぶんだけ伸ばしたら、フィシス様のおかしな人具合に磨きがかかりました。その参考文献はいけないと思う……というか、シャングリラには何の文献があるのか。
この話のブルーはまとも(惚気以外は)だったんですが、この日を境に色々変わりそうです……。



「ジョミーがあなたともっと親密に話し合いたいと話していましたの」
フィシスがそう告げると、ブルーは意外なことを聞いたとばかりに長い睫毛を揺らして瞬きをした。
「親密に?しかし僕らは十分に……いや、もしかすると僕ひとりが満足していて、ジョミーは何か不満を貯めていたのだろうか」
表情を改めて、深く考える仕草で顎に指を当てたブルーに、フィシスは苦笑を零して首を振る。
「不満と言うより、不安でしょうか。詳しいことは今夜ジョミーが訪ねたときに分かると思いますわ」
「今夜?」
「ええ。私が後押しいたします。あなたも、ジョミーの元気の良い可愛らしい姿を見続けたいとお思いでしょう?」
「もちろんだとも!」
ブルーは確かに言った。
ジョミーの可愛い姿を見たい、と。
フィシスは両手を握り合わせて、にこりと微笑んだ。


「ジョミー。ブルーはあなたの可愛らしい姿を見たいと仰っておりましたの」
そう言った前後を略して伝えると、ジョミーの頬が一気に赤く染まった。
「か、可愛い!?あの人はまた……ぼくのこと孫みたいに言って……」
怒ったような、照れたような様子で赤くなった頬を拳で擦るジョミーに、フィシスは緩く首を振る。
「孫、とは違うと思います」
そうして、傍らのテーブルに置いていた服を取り上げてジョミーに手渡した。
「これなに?」
はい、と手渡された桃色の布を見てジョミーは首を傾げる。
「今夜はそれを着てブルーの元へ行かれるとよいでしょう。あなたもブルーとゆっくりお話したいでしょう?」
「それは確かにしたいけど……あんまり夜更かしするとブルーによくないし……」
「ですから、そんなときのためのこの服ですわ。どうぞここで試しに着替えてみてください」
「ここで!?え、って……フィシス……これ……」
広げた服を見て、ジョミーが絶句する。
「これスカートじゃないか!しかもなんか随分丈が短い……」
「看護士の服です」
「嘘だ!この船の看護士はみんなズボン型じゃないか。アタラクシアでだってスカートは膝下まであったよ!?これ太股まで出るじゃないか!」
「まあ……私が嘘を申したと……?」
眉を寄せ、傷ついたように手の甲を唇に翳してよろめくと、ジョミーは途端に慌てて首を振った。
「あ……ち、違うよフィシス。そんなつもりじゃないんだ。でもこれって……」
「ライブラリーに記録が残っておりました、地球で使われていた看護士の服を、再現させたものです」
「地球?」
その単語に、ジョミーはぴくりと反応を示す。
「これ、地球の服なの?」
「ええ。再現してくれた方は平面の資料を元に起こした型紙で作ったので、細部が怪しいとは言っておりましたけれど、サイズはジョミーにぴったりのはずです」
「地球の服……看護士の服……で、でもさフィシス。服を着たからってぼくが上手く看護できるようになるわけじゃないし」
「気は心です、ジョミー」
フィシスはキリリと表情を引き締めて、桃色のナース服を広げるジョミーに手を重ねた。
「桃色は人の気持ちを和ませるといいますし、あなたがその服を着ることによって、あなたの心がソルジャーにも伝わるでしょう。どうしても不安になる事態になりましたら、ドクターを呼べは良いだけです」
それでは別にいつもの服でも構わないだろうと、ジョミーに気づかせないうちに、フィシスは畳み掛けるように重ねた手から思念を送った。
「それとも、こちらの服のほうがよかったかしら?」
送られてきた映像は、フレアスカートの黒い半袖のワンピースに、白いレースのエプロンを掛けているものだった。その裾はやはり短く、裾と袖は白いレースで飾られている。頭部にも白いレースのカチューシャ。
次に送られてきた映像は、レオタードのような黒い衣装に燕尾服を重ねて着ていた。足を包むタイツは網目状で肌が見えるし、お尻にあたりには白いぼんぼりのようなものがついている。頭につけたウサギの耳のついたカチューシャと合わせてみて、どうやらウサギをイメージしているらしい。
そんな映像が、自分をモデルに送られてくるのだからたまらない。
「な……なにこれっ!?」
目を白黒させて絶叫するジョミーに、フィシスはそっと重ねていた手を解いた。
「これらは、身の回りのお世話をする者と、場を和ませる役割を担う者の衣装だそうです。ね、ジョミー。私はこれでも、あなたが抵抗少なく着ることのできるであろう服を選んだつもりだったのですけれど……」
「わかった。ぼく、これ着るよ……」
まるでどれかひとつは選ばなければならないかのような言葉に、ジョミーは少々青褪めた顔色で桃色の看護士の服を握り締めた。


「ここでジョミーが試着をしてくれなかったことだけが心残りです……」
頬に手を添えて、ふっと残念そうな溜息をつくフィシスに、リオとアルフレートはそれぞれ視線を他所へと泳がせた。
「それにしてもよい仕事でしたわ、リオ。よくあの短期間であの服を仕上げてくれましたね」
『あ、ありがとうございます………ジョミー、すみません……』
消え入りそうなリオの声など聞こえていないかのように、フィシスは手を叩いて椅子から立ち上がった。
「さあこれで、明日からは私も解放されますわ。さすがに今夜のことは私に話そうとはお二人とも、思いませんでしょうから」
「フィシス様……」
そっと目の端に浮かんだ涙を拭ったアルフレートの肩を、リオが叩いてゆっくりと首を振った。
慰めてくれるのか、同志。
唯一同じくすべてを知っているリオからのアクションに、アルフレートは共に嘆こうとした。
だが。
『必ずしもフィシス様の思惑通りにことが運ぶとは限りません。そのときは頑張ってください』
アルフレートは孤独をまざまざと実感した。


「女神は哂う」
配布元:Seventh Heaven


まさかのアルフレート締め(笑)
ジョミーは素直な子なので、ちゃんとピンクナースで青の間に行きます。

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