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日々の呟きとか小ネタとか。 現在は転生話が中心…かと。
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ガンダムの感想を書いたらすぐにこれを更新するはずが、気づけば「t」を大量に羅列して寝てました……睡眠が好きすぎるこの身が憎い。調子の良くないパソコンを立ち上げっぱなしにしていた報いで、半日休めたのに今もちょっとご機嫌斜めです。わーん、頑張ってくれ~。

で、本題。
ようやくちょっとはブルジョミらしくなってきた……かなあ……(遠い目)
今回の舞台(人気のない中庭)は、自分が行っていた高校に似たようなのがありました。日中ずっと日陰で、本当に人がいるところを見たことがなかった……絶対設計ミスだと思う(笑)

目次



「どうしたんですか、こんなところで」
ベンチに座ったまま目を瞬くジョミーに、思わず溜息が漏れる。
「君こそ、こんなところでどうしたんだ」
まさかこんなところにいるとは思わなかった。校舎と校舎に挟まれた日陰のデッドスペース。ほとんど人が来ることもなく、植えられた木で死角になっていて、こんなところにベンチがあると気づいてすらいない生徒もいるくらいだ。
こんな寂しい場所にジョミーが一人でぽつんと座っている様子はおよそ彼には似合わなかった。
ジョミーは太陽の下で、輝くように笑っている姿が似合う。他人の興味のないブルーでさえ思わず目を奪われるような、そんな少年なのに。
すぐ傍まで歩み寄り、断りもせずに隣に腰を掛けると、ジョミーは更に目を丸める。
「……なんだ」
「あ、いえ……」
その視線に眉をひそめると、ジョミーは慌てたように手を振った。
「あなたから、ぼくの近くに来てくれたことが珍しくて」
事実を事実として述べたまでに違いない。
だがブルーはその微笑みと指摘されたことに、居たたまれない気持ちにさせられる。
「用事があっただけだ。他意はない」
「そんなところかな、とは思いましたけど。でも十分嬉しいな」
「嬉しい?」
「だって、ぼくに用事ができるくらいには、あなたに近づけているのなかって」
ふわりと綿毛のように柔らかい微笑みを見せる、その翡翠色の瞳に。
ブルーは反射のように思い切り顔を背けてしまった。
あまりにも露骨なそれに後悔しても、やってしまった行動は巻き戻らない。
あからさまな拒絶をジョミーはどう感じただろう。そんな態度を取るのは今更のことだが、今はブルーの方から用事があると近付いておいて、これはないだろう。
気を取り直そうと、そろりと視線を戻せば、ジョミーの瞳は傷ついたというよりも、寂しそうに僅かに伏せられていた。だがブルーの視線に気づくと、その陰をすっかり潜ませて再び柔らかく微笑む。
胸が痛んだのは、何故だろう。
傷によるものとはまるで違う、それよりもずっと深く抉り込むような痛み。
ブルーの態度がそうなのだから当然だが、ジョミーはキースやサムや、あのシロエとかいった少年たちといるときのような笑顔をブルーに向けることはない。
そんなことは立場が違うのだから当然だと考えたばかりだというに、どうして気になるのだろう。
そう、彼のことなど、ブルーにはなんの関係もなく、むしろこのまま縁が切れてしまえばいいとずっと考えていたことなのに。

ブルーはゆっくりと息を吐いて気持ちを切り替えようと自身に言い聞かせる。
どうにもジョミーのことでは調子が狂いっ放しだ。さっさと気になることを済ませて別れるに限る。
「キースから預かった物があるんだが」
ブルーの口から出た名前に、ジョミーはぴくりと震えて分かり易く表情を変えた。みるみるうちに不機嫌なものになり、ベンチについていた手をぎゅっと握り締める。
不愉快な名前を聞いたかのようにキースを忌避するその様子に、なぜか胸のうちで溜飲を下げたような心地になる。他人に関わることをあまり良しとしないブルーにとって、他人同士の諍いもどうでもいいことのはずなのにつくづく不思議なことだ。
「それは生憎、今は持ち合わせてない。あとで返す。それより、胸を痛めているらしいと聞いた」
「キースの気のせいです」
「彼はああ見えて……いや、見た目の通り人の動作の変化には聡い。その彼が、あまり無茶をさせるなと釘を刺してきた」
「わざわざそんなことをあなたに?」
ジョミーは軽く親指の爪を噛むような仕草をして、口の中で小さく舌打ちをする。
感情の一面をさらけ出した行為は、今まで表面上は穏やかに、あるいは強引ではあるが心配をするようにブルーに向けていたものとは明らかに違う。
それを向けられているのはキースだったが、それでも興味深いことに代わりはなかった。
興味深い?
他人に興味を持たない自分が、知り合ったばかりの年下の少年の新たな面にそんな風に感じるだなんて、どうかしている。
「痛めているのは、腹ではなくて胸なのか?」
「キースの気のせいです」
同じ事を繰り返したが、今度は突っぱねるように硬質な声に変わっていた。
「否定するのは、ただの腹痛でなければ僕が君の干渉を一切拒むと思っているからか?」
「だからそれはキースの気のせいです。ぼくのは食べすぎだか昨日冷やしたか、その辺りの単なる腹痛で……」
不機嫌そうに繰り返したジョミーの言葉が、一瞬息を飲んで途切れた。
だがジョミーはすぐに目を丸めて、胸に触れるブルーの手を見ている。
触れた胸は贅肉なんて欠片も見えない見た目に反して、少し柔らかかった。
「な……っ」
「やっぱり、痛いのか」
どうしてもジョミーが否定するのなら、実際に試してみれば早いと手を伸ばした。さすがに本当に痛めていたときのことを考えて、強くではなく軽く押す程度に胸に触れた瞬間にジョミーが痛みに顔をしかめたのは確かだった。
掌に伝わる鼓動が一気に跳ね上がる。
秘密にしていたことを知られた焦りかと思えば、顔を上げたジョミーの頬は赤く染まって、翠色の瞳には今にも泣いてしまいそうなくらいに涙が溜まって……。
掌が飛んできた。
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