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日々の呟きとか小ネタとか。 現在は転生話が中心…かと。
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進んでいるように見えて進まず、進んでないようですがジリジリ進む。
登校風景が長くなるのは、二人の学年が違う上に、今のところ接点がほとんどないからですorz
シャン学設定だったらそれこそ生徒会とかがあるんですが、このブルーは自分からは理由をつけないとジョミーに近づけないからなあ……生徒会長……じゃない、ソルジャーを見習ってください(笑)


目次



「あ、じゃあセンターが近いんで、ぼくアルテラを連れて行ってきます。すぐに追いつくから先に行っててください」
ジョミーが幹線道路から通りを一本中へ入る建物を指差すと、アルテラは手を翳してそれを遮る。
「ひとりで大丈夫よ。それじゃあミスター・イリアッド。またね」
ジョミーの妹から不可解なことを言われてから考え込んでいたブルーは、再び手で握られてぎょっとする。
次の瞬間、アルテラの触れた箇所からまるで電流が走ったかのような痛みと痺れが駆け上り、思わず手を振り払うようにして引っ込める。
どうやら痛かったのはアルテラも同様だったらしく、振り払う動作をしたのはほぼ同時だった。
「なにが……」
顔をしかめるブルーに、アルテラは呆然と自分の右手と、ブルーの顔を見比べる。
「あなた……」
「アルテラ!」
口を開こうとしたアルテラは、ジョミーからきつく叱られて肩を震わせ首を竦めた。
「慣れていない人に無闇に思念波で語りかけるなと言ってるだろう!」
「でも!こんなの初めてのことよ!ミスター・イリアッドは力のあるミュウなの?」
「僕はミュウじゃない」
咄嗟に不機嫌な語調で否定してしまい、これではミュウであるアルテラが気を悪くするとぐっと口を引き結ぶ。だがアルテラはそれよりも他の事に気を取られているようだった。
「違うの?でも……今のは思念コントロールというより、サイオンの防壁だったと思うけど……あなたの中に、誰か別の」
「アルテラ、いい加減にしないか。なんのためにセンターに来たんだ。今日のお前はサイオンが上手く制御できてないだけだろう?ブルーに変なこと言ってないで、早く行く!」
ジョミーが厳しい口調でセンターの建物を指差すと、アルテラは少し落ち込んだように俯いた。
ジョミーはブルーがミュウを嫌っていることまでは知らないはずだが、それでもどこか否定的なところがあるとは気づいているのだろう。
気を遣っているのは分かったが、先ほどまで兄の様子を心配していた少女が叱られる様子は少し気の毒な気がする。
アルテラは気持ちを切り替えたように顔を上げて、今度はブルーの手を取らずに両手を後ろに組んで、身を翻そうと一歩下がりながらブルーを見上げる。
「……あのね、さっき言ったこと、お願いね。ミスター……」
「ブルーでいい」
歳に似合わない、苦い笑いを僅かに見せていたアルテラは口を開けたまま足も止めた。
「ブルーでいい。ミスターなどと聞き慣れない」
特に意味などなく、ただ本当に聞き慣れない呼びかけに馴染まなかっただけだ。
だが言われたアルテラは、きょとんと瞬いた目を、それから弧を描くように細めて嬉しそうに微笑む。
「うん、ありがとうブルー。それじゃあまたね」
手を振って今度こそ身を翻した少女は、まるで体重など感じさせないかのような軽やかな足取りで駆けて行った。

その背中がセンターの門を潜るまで見送ってきたジョミーは、おもむろにブルーを振り返る。
「すみません先輩。寄り道した上に。ちょっと甘やかしすぎたのか、アルテラは奔放で」
「別にいいさ」
それよりも「またね」と言って走り去ったことの方が気になる。どうやら彼女は本当にブルーに期待しているらしい。そう言われても、普段のジョミーのことさえ良く知らないのに、困る。
気もそぞろに生返事を返すブルーに、だがジョミーは眉を寄せてゆるく首を振った。
「ありがとうございます。でも、思念のやり取りに慣れていない相手に思念波で急に話し掛けることは、アルテラのためにもならないんです。まだ誰もがミュウを受け入れているわけじゃない……不用意なことをすればあの子が傷つく」
自分の考えに沈みかけていたブルーは、気鬱な声に振り返る。
ジョミーが厳しく叱ったのは、ブルーを気遣っただけではなくて、妹を守るためだったのかと、ようやく気づいたからだ。
「……経験が?」
「何度か。だからアルテラも家族や慣れた相手以外にはあんなことはしないのに」
「そうか……」
人のことは言えないが、ブルーには身近にミュウを恐れている人物がいるために、彼女が嫌悪か否定か、とにかくあまり良くない感情に晒されたことがあると言われても納得できる話だ。
それでも彼女が他人であるブルーを信用できるのは、こうして愛されていることを無意識にでも感じているからだろうか。人の悪意より、好意を信じている。
他人を嫌悪するブルーとは違って、強い子だ。
「羨ましいことだ」
その強さが、ブルーにはない。
「この話で羨ましがられるのは始めてだ」
小さく呟いた言葉がジョミーに届いてしまっていたらしい。丸めた目を向けられて、ブルーは居心地悪く首を振る。
「……それだけ『慣れた相手』がいるのなら」
ジョミーの口ぶりでは、アルテラが思念波を使って話し掛けるのはミュウには限らないと示している。ミュウと受け入れて、あるいは最初から区別などしていない信頼のできる人物が、彼女にはいるのだろう。
横についてきていた金の髪が視界の端から消えて、どうしたのかと首を巡らせる。
ジョミーは立ち止まって俯いていた。
「………あなたには、いないんですか?」
妹には不躾を叱っておいて、自分のそれは不躾ではないのだろうか。
半ば呆れながら、ブルーは息をついて歩き出す。
「いない」
「リオは?友達でしょう?」
ジョミーが後ろを小走りでついてくる気配がする。
遠ざからない声に、振り返らずに肩を竦めた。
「彼が酔狂なだけだ」
「じゃああなたは信頼してないの?」
それには答えず沈黙のままでいると、再び手を握られ強く引っ張られた。
後ろによろめきながら足を止めて不機嫌に振り返る。
兄妹揃って一体なんだ。スキンシップ好きは家庭環境なのだろうか。
だがそんな機嫌を悪くしたブルーとは対照的に、ジョミーは真剣な表情で身を乗り出してきた。後ろに傾いていたブルーと、必然的に顔が近付く。
「待……」
「だったら、ぼくがなりたい」
力強い言葉に、固まりかけていたブルーはやっとの思いで瞬きをした。
「あなたに信頼されるような存在に……」
吐息が掛かりそうなほどに近すぎる翡翠の色は、少しも逸らされることもなく。
「き……みは、何を言って、いるのか……自覚しているか?」
―――ジョミーのこと、好きになってくれてありがとう。
先ほど言われたばかりの言葉が脳裡に甦る。
なぜ、こんなときに。
緊張したように唾を飲み込もうとする。だが渇いた喉は空気を飲むだけだ。
開かれた薄い唇。
「ぼくは………」
「ジョミー!コブ、コブ!ジョミーがいたーっ!」
だがジョミーが何をか言う前に、元気の良すぎる子供の声が割り込んで来た。
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