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日々の呟きとか小ネタとか。 現在は転生話が中心…かと。
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ホワイトデー更新で転生話の女の子のジョミーとブルーです。
バレンタインを書いちゃったからには、ホワイトデーもこれで……ということで、これもバレンタイン同様パラレルの更にパラレルの一種だと捉えてください(^^;)
(前のバレンタイン話 前編 後編
普段ツンデレだと、一体どういう顔をしてお返しをしたらいいのか困ります(笑)
ジョミーよりよっぽど乙女なブルー(^^;)
ホワイトデーより前の話。




2月14日に至る所で見かけた広告は、今度は3月14日に向けたものに代わって、同じように町中を彩っていた。
それらを見ないようにしていたブルーだったが、件の日付が近付いてくるほどに落ち着かなくなってくる。
生まれて此の方、まったく縁のなかった行事に、一体どう対処すればいいのか分からない。
今年までは、差し出されるものも、押し付けられたものも、さっぱりと無視をしていたが、今年はそうもいかない。
ジョミーから差し出されたチーズスティック型のパウンドケーキを、自分で受け取った。
ジョミーのあれはきっと義理だ、義理のものに違いないと思う。義理ならどの程度のものを返すのが妥当なのかさえ見当もつかないが、あれがブルーのためだけに作ったものだったということが迷いに拍車を掛ける。
別にこんな行事に踊らされることもない、いまさら不義理をするくらいなんだと、お返しの品を用意することを止めようかとも何度も考えたというのに、気が付けばホワイトデーのお返しに向けた広告をぼんやりと眺めていたりする。
街中で渡された、雑貨店のホワイトデー向けプレゼントを前面に出したチラシをまたじっくりと眺めていることに気が付いて、ブルーは渋面を作ってチラシを握りつぶした。
「何をやっているんだ」
友人にそれとなく、いつもはどんなものを返礼としているのかと訊ねようかとも思ったが、今までブルーがそんなことに興味を持った試しがない。必ず不思議がられるだろう。
先月ジョミーから手作りのお菓子を渡されたブルーは、それを友人にも秘匿した。
リオは麦チョコだったのに、ブルーが手作りお菓子だったなんてそんなことを言えばなんの嫌味かと言う話だ。
そう考えて家に戻って自分の部屋に篭るまで鞄に入れ込んでいたのだが、それを隠すかのように底にしまいこんでいたことについては、何の疑問も持っていない。
とにかく、そういうことなのでリオにジョミーから手作りお菓子を渡されたことは今更言えないし、言うつもりもない。
必然的に、まったく自分には向かない種類のことを、ブルーは一人で考える羽目になった。
別に、お菓子でいいじゃないか。
目的もなく……ないと信じてただふらふらと街中を歩き、そのついでに洋菓子店を覗きながらブルーは考え込むように眉を寄せる。
お菓子にするとして、一体どの程度のものが妥当だろうか。ジョミーから渡されたものが既製品なら、それに見合う返礼でいいのに、手作りとなると……また堂々巡りだ。
「……あれ、ブルー?」
店先に置かれた、クッキーを詰め合わせた手ごろな小袋の包みを手にして考え込んでいたブルーは、横合いから聞こえた声に激しく動揺した。

「こんなところで会うなんて珍しいですね」
来るなと心で願っても、普段から何かとブルーの傍にいたがるジョミーが避けてくれるはずもない。
駆けて来る当の本人に見つかる前にと包みは台に戻したが、立っていた位置からして何を見ていたかは明白だった。
「あれ、あなたは甘いものは嫌いだったんじゃ……ああ、ホワイトデーの」
バツが悪くてジョミーの方を向けない。
頑なに視線を向けようともしないブルーに気づいているのか気にしていないのか。
来るなと願った少女は、ブルーの隣に並んで一緒に居並ぶ商品を見回した。
「でもこのお店って、高くないですか?小包装でも、ほら」
自分が受け取るものを一緒に物色するとは何事だ!
いや、いっそジョミー本人に選ばせた方が簡単かもしれない。いったいどれほどの期間、気がつけばホワイトデーの文字を目が追っていたことか。
「あなただったら、お返しもたくさんいるでしょう?それなのに毎年こんなお返しをしてるんですか?」
ブルーは思わず首を巡らせて、避けていたはずの少女を見下ろした。本当にそう思って純粋な疑問を浮かべる新緑色の瞳に、盛大に眉を寄せた。
「僕が君以外に贈る必要がどこにある?」
バレンタインの贈り物をしてきたのはジョミーだけだと言いたかったブルーの返答に、ジョミーは目を丸める。
次いで、じわじわと広がるように頬から顔全体を赤く染めて、視線を逸らしてしまった。
視線を逸らすようにして俯いてしまったジョミーの赤くなった耳を見て、初めて己が口走った言葉を反芻したブルーは、慌てたように手を振る。
「違う、だから、僕は単に……ご、誤解をするな!」
何が違って何が誤解なのか、既にブルーにもよく分からない。
お菓子をジョミーからしか受け取っていないことは今更の事実で、今探していたものがジョミーへの返礼であることも事実だ。どこにも誤解などない……はずだ。
「ぼくのことだったら、気にしないで下さい」
ぐるぐると巡る思考に、言いたい言葉が形にならない焦燥に内心で舌打ちを零したブルーに、そんな言葉が向けられた。
ジョミーは赤く染めた顔を両手で隠すように頬を包み、軽く叩く。
「えっと、ぼくのは勝手に贈りたいと思っただけのものだったし、あの、あなたに受け取ってもらえただけで嬉しかったし……」
最初からお返しなど期待していなかったと言外に告げられて、なんだか面白くない。
本人がいらないというのだから、それでいいではないか。
そんなことを考えつつも、ジョミーが先ほど指を差した最小包装のものよりもふた周りほど大きなボックス仕様のものを取り上げて、店内に入る。
「え、ブルー!?」
慌てて追いかけてくるジョミーの手が届く前に、ブルーはカウンターにそれを置いた。
「そんな高いのもらえないよ!ぼくのなんて本当に下手なお菓子だったのに……っ」
「手作りが既製品に劣るというわけでもないだろう」
綺麗に包装したボックスは店のロゴの入った紙袋に収められ、手渡されたそれをブルーはそのままジョミーに差し出した。
「個人の好みに合わせた甘さの調節なんて、既製品にはできない」
満足だったのだ、と。
ジョミーの作ったお菓子はブルーの好みに合っていたのだ、と。
やはり言外に告げたブルーに、ジョミーは再び頬を赤く染める。
「えっと……あの……それじゃあ……」
おずおずと手を差し出したジョミーは、紙袋を受け取って、大事そうにそれを両手に抱えてはにかむように微笑んだ。
「ありがとう……」

とにかく返礼ができたと一仕事を終えた気分で、内心ほっと胸を撫で下ろしていたブルーに、その笑顔は不意打ちだった。
「い……行こう。店の中でこんなやりとり、迷惑だ」
顔に熱が篭ったような感じがして、それをジョミーに見せないように急いで店の外へ向かう。
「あ、はい!待ってください!」
置いていかれないようにと後ろから追ってくるジョミーの姿は、振り返らなくともガラス戸にしっかりと映っている。、慌てながらもブルーから渡された袋を大切そうに両手で抱え、本当に嬉しそうな笑顔を零して。
満足しながら店を出たブルーが、今日がまだホワイトデーより半月も先だったと気づくのはもう少し後の話。



実は3月頭の出来事だった、という話。
後で気が付いて、どんだけお返しに張り切っていたのかと
ジョミーの思われているのではないかと頭を抱えます。
ツンデレめ(笑)

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