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日々の呟きとか小ネタとか。 現在は転生話が中心…かと。
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限定話撤去に伴い、代わってこれまた小話アップ。
とはいえ、限定の続きではなく、表の続きのほうです。ふたりは健全(……だからジョミーがこんなことができる……)




「そういえば、プレゼント貰いっ放しだったっけ」
そうジョミーが気づいたのはクリスマスデートも終えた、更に翌日のことだった。
遅すぎるといえば遅すぎる話だが、ブルーからのクリスマスプレゼントがサンタクロースからという名目をつけられていたり、その渡し方が夜中に勝手に家に侵入するというとんでもない方法だったりで、すっかりと「お返し」が頭から抜けてしまったのだ。
資金の豊富なブルーとは違い、ジョミーは親からのお小遣いをやり繰りしている。そして今は月末だ。小遣いは月初めにまとめてもらう。ママは前借りはさせない方針を崩したことがない。
「……お金がない」
シャングリラ学園はアルバイトは禁止していないけれど、生徒会で忙しいジョミーに学外で働く時間なんてありはしない。ソルジャーを押し付けたのはブルーだ。
けれど。
「さすがにぼくだけ貰うのはまずいよなあ」
誕生日だとかジョミーの祝い事ならともかく、クリスマスは信者ではないジョミーとブルーにとってはいわばイベントだ。ブルーなら気にもしないだろうと分かっていても、一方的に貰うだけはジョミーの心情が許さない。
「でも……」
鞄に手を伸ばし、取り出した財布を確認したジョミーは遠い目をして息を吐いた。
「お金ないし……」
振れば小銭くらいは音を立てそうだった。


携帯電話が着信を告げると、ブルーはそれを光速の勢いで手に取った。
ジョミーからの着信は、すぐにわかる。何しろ、ジョミーの声を録音したものを使用しているので。
ジョミーに「メールだよ」とか「電話に出て」とか、音声をコレに吹き込んでくれとレコーダーを前にお願いしたときは鉄拳制裁と共に断られた。今携帯から流れているのは「仕事手伝ってください!」という怒鳴り声だ。
本当は「……好き」と言う言葉を録りたいところだが、盗み撮りなので囁かれるだけのそれを録音するのはなかなか上手くいかない。ちなみに現在のメール着信音は「いい加減にしてください!」である。
「ジョミー?」
録音もいいが、やはり機械越しだろうと本物の声は更にいい。すぐに通話にすると、ジョミーの声が耳に届いた。
『今いいですか?』
「もちろん。どうしたんだい?」
『どこにいますか?』
「家だけど」
珍しくジョミーから呼び出してくれるならすぐにでも出かけようとクローゼットを開けると、しばらく逡巡するような沈黙があった。
『………実はすぐに近くに来てるんですけど……』
「え、本当に?どこだい、すぐに迎えに行くよ!」
『家の前』
一瞬の間の後、ブルーは慌てて窓に飛びついて、カーテンを勢いよく開いた。
薄暗い夕闇の中、門扉の前で携帯電話を耳に当てたジョミーが部屋を見上げている。
門灯の明かりで寒そうな白い息が見えて、ブルーは急いで身を翻した。
「言ってくれたら君の家に行ったのに!もう暗いのに危ないじゃないか!」
『あのさブルー、ぼくはあなたと同じ高校生ですよ。しかも男。まだ七時にもなってないのに』
「年齢も性別も関係ない!ジョミーは可愛いのだから自覚を持ってだね……」
『可愛いってなんだよ!』
途端に不機嫌な声が返ってきた。
ともかく急いで階下に下りて玄関の扉を開けると、怒ったように唇を尖らせていたジョミーがぱっと表情を綻ばせた。

「急にごめんなさい」
ジョミーは携帯電話の通話を切ってポケットに入れる。
「いや、そんなことは気にしなくていい。君ならいつでも大歓迎だ」
駆け寄ったブルーに、ジョミーは締めたままの門扉の向こうから、いきなり手を突き出してくる。
「そんな薄着で出てきて!はい、これ。遅くなったけどクリスマスのお返し」
「お返し?」
まさかそんなものが来るとは思っていなくて驚いて目を瞬く。ジョミーが手にしているのは一枚の封筒だ。
受け取ると、ジョミーはバツが悪そうに首を竦めた。
「もう少しマシなものを渡せたらよかったんだけど、今金欠で」
ジョミーに目で問えば、開けていいと頷かれる。出てきたのは一枚の白いカード。
「『便利屋券』?」
表にはシンプルにそれだけ、裏を見るともう少しだけ分かり易く説明があった。
「『ひとつあなたの願いを叶えます。ぼくに出来ること限定なのでよろしく』。……ジョミー」
「あ、やっぱり呆れた?子供じゃないんだからさすがにそれはないかと思ったんだけど、新年になったらまともなものを贈るから今はそれで許してくれません?」
両手を握って頬に当て、誤魔化すように笑うジョミーは分かっていない。
ブルーはそのジョミーお手製のカードを大切に封筒に仕舞い、大切に懐に入れて、おもむろに門扉を開けて、それからジョミーの両手を上から包むように握り締める。
「ありがとう。僕にとってはこの上なく素晴らしい贈り物だ。だが『願いを叶える』だなんて、こんな贈り物は僕にしかしてはいけないよ?」
「あなた以外にそれを笑って許してくれる人なんていないからしませんよ」
聞きようによっては随分な言われようだったが、しないとはっきり約束してくれたのでほっと胸を撫で下ろす。
ジョミー、約束事、それも文章にしたものは、もう少し厳密に書かなければいけないよ。
ブルーは心の中だけでそっと呟いた。
カードには有効期限が記載されていない。


忘れた頃にカードを出されたジョミーが悲鳴を上げるのは、数年のちの話。








ジョミーは半分シャレのつもり。
ブルーのお願い事は結局なんでも聞かされているからいいかー、くらいの軽い考えが半分。

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