最近疲れているのか、やたらと電車で酔います。必ず帰りだけなので、空腹も原因の一端だとは思うんですが、腹が減ったら酔うって子供か(笑)
晩飯前に何か食べれば太るし、外で食べれば食費が嵩むので悩みどころ(^^;)
と、いうことで携帯を打っていると酔いが酷くなるので、最近は電車ではダビングしたシャングリラ学園を聞いています。一回目だけは危険なので家で聞きますけれども。電車で噴き出しそうになったまるマのドラマCDで懲りた(笑)
そんなシャングリラ学園の感想。ばっちりネタバレしてますのでご注意。
今回は文化祭。
ブルーが落研というのに不覚にも笑ってしまった。渋いなあ。でも落研の発表会で煎茶って出るものなんでしょうか?(笑)
舞台前にお茶を飲んで眠くなるブルー。……縁側で日向ぼっこしているおじーちゃんのノリ?
ブルーが一度寝たらなかなか起きないことをジョミーが知っているというところにちょっと萌えました(笑)
しかしブルーも、発表会前の練習を何も生徒会室でしなくても……とか思ったので小ネタを後でアップします。
フィシスの怪しい部活動を見て見ぬふりしておいて見回りって……見回りが役に立ってないよソルジャー!(笑)
最近、すっかりジョミーはスルーすることを覚えちゃいましたね。
しかし学園のジョミーはリオにも含むところがあるのか、やたらと「地味」といじめますな(^^;)
文化祭なんだから美術部は絵の展示で当然だろうに地味って、言いがかりですソルジャー(苦笑)
キース、まだクールなイメージのつもりだったんだ。
女湯を覗こうとアレコレしている時点でもうクールじゃないだろう!(笑)
マザーにまで「でちゅ」とか言われて(どっちも子安さんだけど)、可哀想なキース!
しかしなぜここでシロエが畳み掛けてくれないのか。嘲笑してくれたら完璧だったのに。
シロエの出番はvol3しかないんですかね~?
シロエの登場といえば、マツカが登場しなかった今回。え、マジで?と驚きました。
出たら出たでえらい壊され方をするんでしょうけれど、出ないとそれはそれで、えー?とちょっと不満(苦笑)
マツカは壊しにくかったのか……単にアフレコスケジュールの問題?(でも別撮りできるんでしたっけ)
高城さんはトークで出演していたんだから、ギャラ(嫌な話だな^^;)ってこともないと思うんですが、本当になぜマツカの出番がないのか……。
こうなると、7巻のグレイブも出ないかな~?
トォニィは出るよね!?本編が三世代大河とか言ってるのにトォニィが出なければ詐欺だ~!と今からハラハラしております(笑)
なかなか入学一日目の朝が終わらない……(苦笑)
今度はブルーが不足してきましたorz
転生話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話
危険な状態だったけれど怪我人は出なかったことで、ほっと胸を撫で下ろして笑っていたマツカは、ふとキースが首を捻っていることに気がついた。
植え込みから引っ張り出したサムの自転車を見て、植え込みを見て、それから来た道を振り返り、また植え込みを見てもう一度首を捻る。
「キース?」
「あ、いや……」
どうかしたのだろうかと問えば、言葉を濁して首を振る。
「……それにしても、随分器用なこけ方だな、サム」
「へ?」
「進行ルートが上手く少し右にずれたから、植え込みが深くて大した怪我をせずに済んだんだぞ。見ろ、直進なら植え込みの切れ目と重なっていた可能性もある」
「あー、ホントだな。俺って運がいいのかな」
「サム……」
呑気なことを言って軽く笑う友人に、キースは額を押さえて溜息をついた。
頭が痛いと言わんばかりのキースとは対照に、サムと同乗していたジョミーという少年はにこにこと笑顔で友人の無傷をからかい混じりに祝っている。
「とにかく!」
キースは眉を寄せて、反省の色の薄い二人の少年を睨みつけた。
「サムと、そちらの……ジョミーだったか?二人は反省文だ。怪我人が出なかったからといって、危険行為だったことには変わらないのだからな」
「えー!そりゃないよ、キース。俺、転入一日目で反省文だなんて、教師に目をつけられちまう!」
「ぼくも……入学早々ってママが『またなの!?』って角を出しそうだ……。と、それに反省文って君は生徒会の人とか?」
「僕は学年代表だ。新学年になってはいるが、新たに選出されるまでは前年度の学年代表がその役目を負う。二年次は僕の管轄だ」
「あー……キースらしいな、学年代表って……」
乾いた笑いを漏らしながらマツカから鞄を受け取ったサムの横で、ジョミーはにっと笑みを浮かべる。
「じゃあぼくは……キース、だっけ?君の管轄じゃない。ぼくは今年入学の一年次生だからね」
「年下か」
「ううん、同い年。でも病気で半年以上休学してた時期があるせいで、一年遅れているんだ」
言いづらいような聞きづらいようなことをサラリと口にして、ジョミーは頬に手を当てて精々残念そうな溜息をついてみせる。
「だからぼくはキースの管轄外だ」
「残念ながら、前年度の学年代表が存在しない一年次は、代表が決まるまでは前一年次の代表が兼任することになる。つまり、僕だ」
「ええ!?」
当てが外れてがくりと膝を崩したジョミーに、キースは目を細めてにやりと笑う。
「サムと、ジョミーと、二人とも反省文と減点だ。減点は溜まるとペナルティーが科せられるから以後は生活態度に気をつけるように」
「そんなあ。キース、俺とお前の仲じゃないか」
「僕は私的に職務を疎かにはしない」
どうにか手心をとお願いしてみる友人に、ふいと顔を逸らしながらキースの表情は普段のトラブルを片付けるときのような苦々しさはない。
今朝は顔を合わせたときから口数も多く、本当にサムが帰って来て嬉しいのだな、と微笑ましく二人を見ていたマツカの耳に、小さな呟きが聞こえた。
「本当に、相変わらず固い男みたいだな」
「え?」
固い男というのがサムのはずはない。まるでキースを昔から知っているような口ぶりの少年に顔を向けると、視線に気づいたジョミーは友人を指差す。
「ああ、サムから色々キースの話は聞いてるんだ。聞いたままのお固さだよ」
ジョミーの声色も表情も、揶揄するようなものではなく、悪戯小僧のように気安い笑みで、マツカも素直に笑い返すことができた。
「さ、そろそろ学校へ向かわないと、遅刻しますよ。学年代表が遅刻では様にならないのではないですか、キース?」
「む、そうですね」
「いけね!」
年下の少年たちのやり取りを微笑ましいという様子で眺めていた兄が腕時計を指差して、サムは慌ててキースがハンドルを持ったままだった自転車の籠に鞄を放り込む。
「この上遅刻まで重なったらしゃれにならない。ジョミーも急げ!」
「分かってるって……って、あれ、ぼくの鞄……あ、ごめんなさい!」
リオが肩に二つ鞄を下げていることに気がついて、ジョミーは慌てて手を伸ばす。だがリオはそれをやんわりと手で制した。
「学校までは僕が運びましょう。まだ興奮状態で、痛みが曖昧になっているでしょう?」
掌から血が出てますよとハンカチを差し出されて、ジョミーは目を瞬いて慌てて自分の右手を見た。
擦り剥いた程度のそれは酷い出血ではないが、リオが指しているのは他にも痛めている箇所があるのに気づいていない可能性の方だ。
「でも……」
ハンカチを受け取ることに躊躇するジョミーにそれを押し付けて、リオはさっさと歩き出した。年少者たちは慌ててその後ろを追いかける。
「それに、先ほどは丈夫が取り得なんて言って、休学するほどの大病を患っていて丈夫もないでしょう」
「ああそれは、謎の高熱が一週間くらい続いたのが原因で、あとの期間は検査が半分、あと別件で骨折して入院してたのが半分。だから大病ってわけでもなくて」
「あの熱は、おばさんがすごく心配してたよな。でも見舞いに行ったら、お前は本当にピンピンしてて、心配し損だったよ。見舞いの品は食い物にしろってごねてたくらいだったし」
「謎の高熱って……サイオンの暴走だったわけではないのですか?目覚めたばかりのときは力が強い子供などは稀にそういうことが起こるでしょう?」
少し心配そうに伺うリオに、ジョミーは目を瞬いてサムと顔を見合わせる。
「ぼく、ミュウじゃないですよ」
「え……!?」
「ホントホント。マツカみたいな繊細さがこいつにあるように見えますか?」
「サァームー?」
拳を握るジョミーに、サムは笑いながら自転車を押して走り出す。
「本当のことだろ!」
「だからって失礼極まりないぞ!」
「サム!ジョミー!少しは懲りろ!この人込みで暴れるな!」
駆けて行く二人を叱るキースに、くすくすと笑っていたマツカは、難しい表情をした兄に気づいて首を傾げる。
「兄さん?」
「あ、いや、なんでもないよ」
すぐにいつもの柔らかい笑みを見せてマツカの頭を軽く撫でたリオは、先に行った三人を追いかけるように歩き出した。
触れた箇所から、珍しく兄の心が零れて聞える。
『ミュウじゃない……本当に?』
はっと顔を上げてその背中に視線を送ったけれど、なぜ兄がジョミーのことをミュウと疑っているのか、理由までは分からなかった。
いっそ、こういう世界になってます、でまとめてしまった方が見やすい気もするんですが、そうすると今までの説明部分は無駄シーンになるので全部編集しなくっちゃ、と思うとなかなか思い切れません(苦笑)
本日はジョミーとリオの話でブルーの出番はなし。
中途半端に切れたので、続きも急いでアップしたいです(^^;)
転生話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話
最初は、彼女はミュウに違いないと思ったのだ。
「大丈夫ですか!?」
幼馴染みが乱暴に押しのけたせいで壁にぶつかった少女に怪我はないかと近付く。
確かに先に不可抗力とはいえ暴力的にブルーの上に落ちたのは少女のほうだったけれど、それにしたって謝ってもしもに備えて心配をした相手を、あんな風に押しのけることはない。
歩み寄り、彼女の肩に手を置く。
やはり、彼女の心は読めない。
もちろんリオも普段は人の思考を読まないように心掛けていて、意識して読もうとすることはまずない。だが先ほど、彼女から強い感情が伝わった。
あの感情を名付けることができるとすれば……。
歓喜。
そうとしかいいようがない。
だがただ歓喜と呼ぶには、彼女の心は複雑に捩れていた。
喜びと、恐れと、後悔と、胸を締め付けるような激しい「何か」と、様々な感情が混ざり合い、それは溢れ出る水が渦を作るほどの洪水のような激しさだった。
だがその直後、彼女の心が悲しみで塗りつぶされた……ように感じたが、それが本当に悲しみだったのかは分からない。
そのすぐ後に彼女の感情が見えなくなったからだ。
溢れ出た心にしたって、他の人のようにはっきりと何を考えているかということまでが見えたわけではなく、ただ漠然とした感情が滲んだだけだった。
思念を閉ざすことはミュウにならできる。ミュウと認定された子供はその時点から思念の扱い方について学び、目覚めたばかりの子供でもなければすぐに思念による会話や、逆に思念を閉ざす術を覚える。
だが人間の子供はそうはいかない。
望めば思念波の干渉を拒む術を学ぶこともできるが、そもそも「思念」を肌で知ることができない状態でそれを「閉ざす」という感覚を覚えることは難しい。特に子供は下手をすれば人格形成期の心に悪影響を及ぼす可能性があるとして、本格的に思念の干渉を拒む術を学べるのは十六歳以上と定められている。
それにわざわざ人が思念を閉ざさなくとも、基本的にはミュウの側が勝手に相手の心を読まないようにとガードを施す義務を持つ。それが暗黙の了解ではなく明文化されているのは、人と共に生きて行く上で必要なことだ、と上から説明されている。
だから思念を閉ざす術を学ばずに一生を終える人間も珍しくはない。
彼女は、その閉ざしたはずのリオの思念を震わせるほどの感情を溢れさせた。
あんなに激しい感情に触れたことは生まれて初めてではないだろうか。
だが今こうして見下ろす少女は静かで、読もうとしても欠片も心を感じさせない。こんな風に綺麗に思念を閉ざせる人間の子供はそうはいない。
リオが知る限りでは、一部を除いて激しくミュウを拒絶するブルーが例外としているだけだ。
だからミュウに違いない、と。
振り返った彼女は、翡翠色の瞳を瞬きもさせずにじっとリオを見上げていたが、すぐに柔らかい笑みを零した。
「大丈夫です!ぼくは丈夫で元気なのが取り柄なんですよ。……ずっと、昔から」
「ジョミー!」
ふと、笑みに影が差した気がしたけれど、それを確かめる前に向かう先から少年の怒声が聞こえた。
そちらに首を向けると、息を切らした少年が植え込みからようやく這い出していた。
「お前、自分だけ逃げてーっ!」
「ごめんごめん、サム!ひとり分の体重が減ったらブレーキが効くかもって思ったんだって!」
ジョミーと呼ばれた少女は、友人の少年の方へと駆け出した。
ベージュを基調にした茶色系のジャケット、それとセットのズボン、短く切った髪と、一見すると可愛い少年にしか見えない少女は、力強い走りを見せてますます男の子に見える。
リオはジョミーが落としたままだった鞄を拾って、その後に続いた。
「怪我はない?」
「ねーよ。植え込みがあったから。それよりお前こそ大丈夫か?」
「ぼくは平気。うっかり目測を誤って、人の上に落ちちゃって」
「って、お前、その人は大丈夫なのか!?だ、大丈夫ですか!?」
後から追ってきたリオがそうだと思ったのか、少年は蒼白になってリオを仰ぎ見る。
「ああ、いえ、僕ではありません。ブルーはもう先に行ってしまいました」
土と枝を払いながら立ち上がった少年に軽く手を振って否定すると、少年は溜息をついて頭を押さえた。
「先に行ったってことは、怪我はなかったのかな。お前、名前ちゃんと聞いた?後で一緒に謝りに行こうぜ」
「うん」
「必要ない。ブルーの奴はそういったことは面倒がるだけだ」
植え込みに突っ込んでいた自転車を引っ張り出してたキースがにべもないことを言うが、事実なのでリオも苦笑するしかない。
「サンキュ。キースの知り合いだったのか?なら話は早いや」
「だから必要はないと言っている」
キースは人の話を聞けとばかりに溜息をついて、傍にいた弟はサムという少年の鞄を拾ってやりながらくすくすと楽しそうに笑った。
……帰ってきて爆睡しちゃったから時間がなくなった、という話orz
平日より早く帰ってきたのにな~(^^;)
ということで、また書いてみたいけど書けないネタの呟き。またもダブルパロ(苦笑)
「エビアンワンダー」というマンガです。ランドリオールも好きだけど、テラでダブルパロするならやっぱりこっちだろうと。
銀符とは悪魔と契約を交わした者。
悪人の魂は地獄のエネルギーとなるため、「悪人の魂を地獄へ送ること」が契約の負債を返済する方法。
そして銀符の力は、悪に対する純粋な怒りによって開放される―――。
悪魔の使いが悪人を狩るという、一見するとちょっと変わった設定ですが、「目的」は地獄へのエネルギーの供給なので矛盾はないんですよね。
常に偽悪的に振舞うフレデリカがすごく好き……。
本来の主人公フレデリカは女性なんですが、パロに当たって男性に。
ということで、
フレデリカ…ソルジャー・シン(鬼軍曹で)
ハウリィ……トォニィ(主人公の弟で、侍符という銀符の従者)
フェイ・イ…ソルジャー・ブルー(何かと主人公に構う武闘僧侶)
色々な意味でトォニィに嫌がられそうなキャスティング(笑)
トミジョミでいいならフェイもトォニィ(成長後版)でいいんですが、ブルジョミ好きなもんで……。
しかしフェイがブルーだと、エレクトラ役が宙に浮く……。
まあパロな時点で師匠役をさっくり見ないことにしても問題はないんですけどね(歌姫でも主人公の双子の姉の存在をさっくり消してるし^^;)
主人公役をブルーがするなら、ハウリィを14歳ジョミー、フェイをナスカ後の三十代ジョミーというのも悪くないかも。
しかしフレデリカはソルジャー・シンのほうがイメージだし~。
セスは立場的にはキースかと思うんですが、性格的にはシロエのほうが合う気がします。難しい。
悪魔のペイシェントはマザー・イライザ?
使い魔ヨーヨーは……ナスカ・チルドレンからタキオンかアルテラあたり……にするのは可哀想か(^^;)
メインの三人以外は上手いキャスティングが思いつかないんですが、逆にメインは(自分的に)すごくしっくりきます。
緑川パロといい、ここで呟くように小話だけなら書けないものか……!うーん、うーん。
書きたいものが多すぎて、手と頭が追いつかない(苦笑)
連載だけで転生もあわせると三つですが、肩の力が抜けすぎたあほっぽい話と、教育指導の続編とかそれ以外でのえちぃ話、どシリアスとネタがぐるぐる回って頭の中がカオスです……。
基本的に共通しているのは、ブルーがむっつりだということ。
……orz
ツンツンしている転生話の初期くらいは格好よくと思っていたのに、それもなかなか難しい……せめてむっつりじゃないからいいか、とか妥協です(笑)
転生話 第2話 第3話 第4話 第5話
ジョミー・マーキス・シン。
有名なミュウの二代目の長の名前。
一部ではSD体制を終わらせた英雄として、その名を語られている。
幼馴染みが先ほどの現場に残ったことにすぐに気が付いたが、ブルーは構わず先に登校した。
とにかく、面倒なことには関わりたくない。
激突された胸がずきずきと痛む。
ジョミー・マーキス・シンと名乗った少年。
そんな名前をつけるとは、ジョミーの両親か片親がミュウか、それともミュウ贔屓なのか。
どちらにしろ子供にその名を与えるほど英雄を敬愛しているのなら、きっとシンというファミリーネームであることにさぞや喜びを覚えただろう。そうでなくてミドルネームまでしっかり重ねるはずもない。
英雄にあやかって「ジョミー」の名をつける親は、多いとは言わないが少なくもない。
「ジョミー」という名は今では珍しいものでもなく、SD体制最後の国家元首「キース」の名も、それから数はぐっと減るが初代のミュウの長「ブルー」という名も同様だ。
しかし珍しくないからと言って、「ブルー」と「キース」と「ジョミー」が揃うなんて、なんの冗談だ。
不愉快にブルーの足取りが僅かに荒くなった。
大体、ブルーはミュウという種族自体があまり好きではない。
こう言うと幼馴染みはいつも、「でも例外はいますよね」と気にした様子もなく自分を指差す。自分と弟のマツカと、そして盲目の占い師フィシスの映像を。
マツカはともかく、リオはなぜブルーがミュウを嫌うか、その理由を知っているためそんな風に軽く受け流すのだ。
世間でミュウを嫌う人間の一般的な理由は、「自分の心を読まれるのではないか」という恐怖からの意見が半数以上を占める。
だが本来ミュウたちのその力は、他者と分かり合うためのものらしい。
人類が機械の支配から脱却してミュウの存在を認めるようになってからの三百年、そう思念について説いて、その上で自ら厳しい規則を設けて自分たちの力を制御していた時代もあったという。
すべては人と共に生きて行くために。
それでも、人間は自分とは異なるものを受け入れることに柔軟ではない。
ブルーの両親がそのくちだ。
だがブルーがミュウを嫌う理由は、もっと個人的で幼い八つ当たりに過ぎない。
思念が悪用されるのではないかという嫌悪でも、ソルジャー・アスカを始めとするたった四人しかいないタイプ・ブルーの強大な力に対する恐怖でもなく。
ほんの少し、自分を取り巻く状況が違えば嫌う理由もなかったくらい、ブルー以外のものからみれば些細な、だがブルーに取っては耐え難いこと。
なぜ両親は、ブルーに「ブルー」の名をつけたのだろう。
ミュウを嫌っているくせに。
そしてそんな疑問さえも、直接両親に問うたことはない。
「見て、あの髪の色、珍しいよね」
指を差されることに慣れた今では、聞こえた声にいちいち反応することもなかったというのに、ぼんやりと考え込んでいたせいで、つい声のした方を振り返ってしまった。
振り返った視線の先にいた三人組の少女たちが、ブルーと目が合った途端に短い歓声を上げて手を取り合う。
そこには否定的な様子はなく、どうやら一年次生かと眉を潜めて足を速めた。
周囲を取り巻く環境が、身に纏わり付くようで不愉快だ。早く人の合間に埋没してしまいたい。毎年、一年の始まりは憂鬱だ。
足を速めたところで、また胸が痛んだ。背中の痛みは随分と引いたのに、胸のほうは呼吸の度に鈍く疼く痛みがなかなか消えない。ひょっとすると肋骨を痛めた可能性もある。
もしも怪我をしていたら、と聞いてもいないのに名乗った少年のことを思い出した。
ジョミー。
ジョミー・マーキス・シン。
ごく一部を除いてミュウに良い感情を持たないブルーには、あまり耳に心地の良い響きではない。
……そのはずだった。
だが不思議なことに、それが明らかにミュウの先代の長を意識してつけられたと分かるはずのあのジョミーに対してだけは、込み上げるはずの面白くないという感情が起こらない。
何故だろう。
「ブルー……」
そう呼んだジョミーの声は僅かに震えていた。すぐ傍から見上げた瞳は、綺麗な翡翠色。
今まで何人か遭遇したことのある「ジョミー」は、ブルーの名前を聞くと「ブルーとジョミー」の取り合わせに喜んだりひとしきり笑い転げたりしたものだ。
だがあのジョミーは、今まで見たどの反応とも違う。
痛みを堪えるような、湧き上がる歓喜を堪えるような、それとも、まるで目の前のものを信じ切れていないような、そんな目をして。
「本当に、あなたなの?」
不可解なことを口にした。
「………待て」
見えてきた校門に、さっさと教室に入ってしまおうと更に足を速めるつもりだったブルーは思わず立ち止まる。
「あいつ、なんで僕の名前を知っていたんだ……?」
名乗ってなどいないというのに。