クリスマスのときにブルーが混ぜた行事が七夕だったので、学園の小話で七夕はしようと心に決めていたのでした。なんてどうでもいい決意(笑)
一応ブルーが卒業した後ということになっていますが、今後学園を書くときは在学中とかに平気で戻ることもありますので……ご都合!
ところで短冊に書くものですが、あれは元々願い事じゃなかったとかいう話なんですがその辺りは最近の風習の方でいってみました(^^;)
「僕はこの日を待っていた!」
唐突に開いた扉の向こう、芝居がかったセリフを口にしながら立っていた人物に目を向けると、ジョミーは慣れた様子ですぐに手許に視線を落とした。
「卒業したっていうのに相変わらずですね。一体なんですか」
もうすぐ期末試験だというのに、生徒会の仕事はなくならない。遊んでいる暇はないとろくな相手もせずに話を促したと言うのに、大学部からわざわざやってきた前生徒会長―――
「生徒会長ではありません、ソルジャーです」
「モノローグにまでツッコむなよ!そうだよ、ソルジャーでした!」
書記の机から上がった抗議にジョミーが机を叩くと、その目の前に掌サイズの短冊が差し出される。
思わず仰け反ったジョミーが見上げると、満面の笑みを浮かべた前ソルジャーが更に短冊を前へ突き出した。
「さあジョミー、これに君の願いを書いてくれ。僕が責任を持って笹の天辺に括りつけてあげるからね」
「ああ……七夕ですか。そんな張り切るほどの行事なのかすごい疑問なんですけど……」
ここで無視をしても粘られるだけなので、素直に差し出された短冊を受け取ったジョミーは、手にしたペンをくるりと回して書く願い事を考える。
ここはごく普通に『期末テストで良い点数が取れますように』あたりでお茶を濁してしまう方がいいだろうか。ブルーは不満を漏らしかねないけど……。
「いや、待て」
そんな願い事を書いてみろ、きっとブルーのことだ。
「だったら、僕の出番だね!僕が付きっ切りで勉強を教えてあげよう!」
とか何とか言って、家に上がりこんでくるか、逆にブルーの家に連れ込まれかねない。
いっそ『ブルーが大人しくしていますように』というのはどうだろう。
「僕が大人しくしているかどうか、確認のために僕の傍にいてくれたまえ!」
そんなブルーの声が聞こえたような気がして、ジョミーは重い頭痛を覚えたような気がして額を押さえた。
『ぼくに平穏な時間を』
「では僕がジョミーの平穏を守ってあげよう!」
『生徒会の仕事が早く終わりますように』
「心をこめてジョミーを応援するよ!」(と言って、傍にいるだけで手伝わない)
何を考えてもブルーが切り返してくる光景しか思い浮かばない。
ジョミーはぐったりとして椅子に背中を預けた。
デスクの前でわくわくとした表情を隠そうともせずに待っていたブルーは、そんなジョミーに首を傾げる。
「ジョミー?そんなに願い事がたくさんあるのかい?」
「………ひとつ、お尋ねしますけど」
疲れた気力を振り絞ってじろりと目を向けると、ブルーは微笑みながら頷く。
「なんだい?ジョミーの質問になら何でも答えるよ」
こうしているだけなら、とても、とてもまともな人に見えるのに……。
「この短冊に書く願い事は、普通に笹に吊るすだけですよね?あなたが願いを叶えようとかしないですよね!?」
七夕の行事でなぜこんな心配をしなくてはいけないんだと思いつつも強く確認すると、ブルーはにっこりと笑って頷くような、傾げるような、微妙な角度に首を曲げる。
「もちろん、笹に吊るすさ。ただ僕に叶えられることなら……」
思ったとおりの返答に、ジョミーはペンを握って短冊の上にさらさらと走らせた。
「今のぼくの、一番の願いです!」
白い短冊の上に一言。
『今すぐ帰れ』
短い、心からの願望を書いた短冊をブルーに突きつける。
突きつけられたブルーは目を瞬いて、それから困ったように微笑んだ。
「……随分冷たいことを言うんだね」
「こっちは忙しいんですよ。手伝ってくれるなら、せめてアドバイスとかをくれるなら歓迎しますけど……どうせ邪魔するだけでしょう?」
ブルーに短冊を無理やり押し付けるとそれ以上は相手にせずに生徒会の仕事に戻る。
どうやっても前向きに変換などできない願いをどうするのか、沈黙するブルーに目だけをちらりと向けると、ブルーは深い溜息をついた。
「……わかった。ではこれを笹に吊るしてこよう」
「は……?」
わざわざ笹に吊るすような願いではないだろうに。
おかしなことを言うブルーに思わず聞き返してしまったが、ブルーは寂しそうな笑みを見せて頷くだけで踵を返した。
「え……あ………ああっと……お願い、します……?」
願い通りに大人しく帰るということか。
ブルーの意図を理解して頷いたものの、本当に大人しくブルーが生徒会室もとい青の間を出て行くと今度は複雑な気分になった。
「………珍しい」
「と、いうことはブルーが騒ぐと思いながらあんな願い事を書いたのですか?」
苦笑を見せたリオの言葉に、ジョミーは眉を寄せてじろりと面白くない視線をそちらに向ける。
「別に……本心だし」
「まあ、あの方は仕事がはかどるようなことより、邪魔をされるとは思いますけれどね……」
処理の終わった書類を机に落として端を揃えながら、リオは肩を竦めた。
「ですが、少し可哀想でしたよ」
「う……」
まさかブルーがあんなに大人しく帰るとは思わなかったのだ。
ジョミーは一言もなく、窓の外の大学部棟の方へと目を向けた。
願い事を取り下げに行くべきか、けれどそうやってまたブルーがやってきても困るし。
そわそわと落ち着きなく書類と窓の外を見比べるジョミーに、溜息をついたリオが口を開きかけたところで、再び青の間の扉が大きく開いた。
「君の願いを吊るしてきたよ、ジョミー」
ちょうど窓に目を向けていたジョミーも、ジョミーを送り出そうとしていたリオも、まさか帰ってくるとは思わなかった人物の帰還に唖然として戸口を振り返る。
ブルーは最初に来たときほどに活き活きとはしていなかったが、戻ってきたことに対しては何の疑問もない様子でジョミーの前まで移動した。
「ちゃんと笹の一番上にね」
「え、あれ、本当に飾ったんですか?」
単に言われた通りに帰る口実にしたのかと思っていたのに。
それが本当なら、一番上に「帰れ」の文字を書いた短冊を飾った、まるで意味不明な笹の出来上がりだ。
「だって君の願いだろう?せっかく年に一度の逢瀬にすぐに帰れとは天帝のように厳しいとは思うけれど」
「………ん?」
何か思ったものとはまったく違う返答に、ジョミーは考えるように首を傾げて腕を組む。
一度帰ったことで願いを叶えたということだろうか。
しかしブルーは卒業してもたびたび生徒会室……青の間に訪ねてくるし、学外で会う機会も考えれば卒業から半年弱ですでに年に一度どころではなく会っている。
「……えっと……?」
「しかしあの短冊を見れば、牽牛と織姫も逢瀬に溺れて自らの役目を忘れて帰らないということもあるまい……」
「なんでこんなときばっかり本気で織姫と彦星なんですか!」
自分に向けられたとは思わないのか!
思わず机を叩いて立ち上がったジョミーの視界の端で、リオが額を押さえて溜息を零していた。
同感だ。まったく、この自己都合のいい人を相手に、無駄な心配をしたものだった。
(おまけ)
「……ブルー、短冊をもう一枚もらえますか?」
「うん?何かもうひとつ願い事があるのかい?」
「願い事の内容を取り替えます。せっかく久しぶりに逢えるのに、最初から時間に追われるなんてあんまりだ」
「うん、確かに。では僕らも今度の日曜日、学校も生徒会の仕事もないときに逢おうか?」
「……………はい」
別に願い事を叶えるのは織姫と牽牛ではないそうですが。
わかっててとぼけるブルーと、とぼけていることがわかっていて
そういうことにしてくれたのにホッとしているジョミーでした。
傍で見てるリオはやってらんないぜ!(笑)
以下は留守にした理由などについてです。や、単に入院していただけなんですが、大したことはなかったんだけどねーというような話です。
しかし落ち着いて創作できんものですかね、このポンコツ体……(^^;)
ということで、1日から入院してました(@_@)
嘔吐を伴う激しい腹痛に1日の明方頃、救急車を呼びましたらそのまま入院になっちゃいまして(汗)
痛みが治まった時点で入院準備と称して一旦家に帰りたかったんですが(主にサイトのため。痛みがなければ余裕だということがこの時点で明白……)、母親が既に付添ってくれていたので準備も任せるしかなく、そのまま病室へ直行でしたorz
いや、ありがたいんですけどね!
そういうわけで、携帯使用可のスペースで急遽あの留守にしますの記事を書いたのでした……。
今回の入院は新たな病気というより、軽度の胃潰瘍と思っていた以前からの胃痛の原因がようやくわかった!というこで、これは悪いことが重なったんじゃなくて、むしろいいことでした!ポジティブシンキングポジティブシンキング(笑)
でも実際、何度も再発する痛みが潰瘍じゃないとわかったのはラッキーでした。手術はしますが、これであの痛みとはオサラバできますから~。
今までも、胃カメラじゃなくてレントゲンを撮っていればもうちょっと早く分かっていたかもしれません。ヌオ~!!
しかし……救急車でも病院でも、その日飲んだ薬を告げたのですが、何をどう聞えたのか、スルカインという薬の名前が上手く伝わらなかったらしく、そんな薬はないという話をしていたそうです(薬剤師さんと医者先生がその話をしていたとき、自分はまだ痛みで転がっていたので聞いていた母からの伝聞ですが)
しかし……スルカインをスカルナーゼとかと言い間違っていたならまだしも、絶対にスローインなんて言ってねえ!(笑)
いや、聞いていた母もいい加減な記憶なんですが、どちらもしても飲んでいた薬は伝わらなかったそうで……言ったぞ、私は4種類全部正確な名前を告げたぞ、わあーん!(笑)
いや、薬を持っていけば確実だったんですけどね……さすがに自宅に救急車を呼んだ時点ではそこまで気が回る余裕がなかったんだ……告げるだけで精一杯orz
日取りはまだ不明ですが、来月頃にまた一週間ほど留守にするかと思います。
今のうちに切っておけば10月のジョミ受オンリーでの東京行きにも支障ありませんしね!
しかしせっかくなら今週の大阪オンリーが終わってからだったらどんなにかよかったか……行くか迷ってましたが、強制的に行けなくなったのが残念で……。
っていうか、オンリーも残念ですが8月のインテに行けるのか!?
……8月頭くらいに手術が終われば行ける……はず?そのくらいの手術予定表に組み込まれますように……(祈願)
どこまでも趣味先行で生きてます(笑)
しかし行けたとしても、さすがにいつものペースでの買い物は止めた方がいいだろうな……(いつもが買いすぎです^^;)
いっそイベント後~9月頭くらいに組み込まれないだろうか……。
と、まあそんなわけで、今は炎症も治まっているので元気です~。再入院までは普通に更新もしていきますので!
ああ、病院にパソコン持ち込みたい……。ネットはできなくてもいいから、せめて、せめて書き溜めできないものか……。
家に戻れないので携帯でこれを書き込むので精一杯なんですが、携帯で打つのは慣れてないので書きにくいです。(^_^;)
メール打つのとか早い人はすごい。
寝入りっぱなに「これいい!」と思ったネタを目が覚めたら忘れているのはよくあります。
………が、「書きてえええ!!」と思わず叫ばずにはいられなかったはずのネタを忘れたのはさすがに初めてです。あああ……すっごい気になる。一体どんなネタを書きたかったんだ自分orz
とりあえず、もっと普通に女の子らしい女の子ジョミーの話も書いてみたいと近頃色々考えていたので、女の子で記憶の底をさらっていたらできた話。
ということで、女の子ジョミーの現代パロ。ブルーとジョミーがいつもと反転した感じになりました。
しかし二人がちっとも絡んでいないという……。話の出だしみたいですが、続きません。
そして忘れたネタは未だに思い出せません。
「大きくなったら、ぼくのお嫁さんにしてあげる!」
昔そう言ったのは、3歳下の隣家の子供だった。
懐かしい夢を見た。
カーテンの隙間から差し込む光で目覚まし時計が鳴るより先に目が覚めたブルーは、その光に夢に見た金色の髪を思い出して目を細める。
両親同士の仲が良く、まるでほんとうの兄弟のように過ごしたブルーの後ろばかりをついて回ったあの子は、ブルーが学校へ上がるようになると公園で他の子供たちとすぐに親しくなっていた。
それでも一番好きなのはブルーだと、下校するブルーを見つけるとすぐに飛んできて手を繋いで家路についた。
友達から、大きくなったら兄弟なんてバラバラになるんだと聞かされて、ずっと一緒にいるのは「ふーふ」なんだと知ったときの宣言が、あれだった。
「僕の方がお嫁さんというのがね」
いつも泥だらけになって転げまわって、本当の弟のようだった可愛い子。
小さく笑いながら起き上がったブルーは、寝乱れた髪を掻きあげてカーテンを開けた。
「懐かしいな……ジョミー」
太陽の光に透けるような、金の髪が本当に綺麗だったことを、覚えている。
「今お嫁さんにして欲しいと言ったら、どんな顔をするかな」
笑いながらさすがにもう女の子には見えない自分の身体を見下ろして、もうずっと以前に引っ越してしまった懐かしい少年の姿を思い出す。
今頃は面影もないくらいに逞しく成長しているだろうか。それとも、あの頃のように元気で腕白な可愛い少年になっているだろうか。
窓を開いて桟に腰を掛けるのと、隣の空家の前に一台のトラックが止まった様子が見えた。
「ジョミー!転校するって本当!?」
職員室の扉を潜ったところで、周囲を憚らない大声に呼び止められてジョミーは溜息をついた。
「トォニィ、廊下は走るな」
窓から入ってきた風に靡いた長い髪を耳に掛け、駆けつけた勢いのまま飛びつこうとした少年の額に手をついて押し返す。
「だってさ!信じられない話を聞いたから……嘘だよね?転校だなんて嘘だよね?」
「嘘じゃない。今度引っ越すことになった」
「そんな!だって僕やっとジョミーに追いついて一緒の学校に通えるようになったのにっ」
「そんな理由でスキップするなよ、お前は……」
指先で弾かれた額を押さえたトォニィは、その指の合間から向けられた背を見て慌てて追いかける。
「だって大人しく待ってたら、僕が入学するときはジョミーは卒業しちゃってるじゃないか。それよりジョミー、転校って、引越しって……っ」
「……そうなんだ……三つの差って、ちょうど入れ違いになっちゃうんだよなあ……」
通りかかった窓枠に手を掛けて、遠くを眺めて溜息をついたその横顔に見惚れかける。
風に靡いた金の髪が手の甲を掠めて、慌てて首を振って呆けかけた意識を取り戻した。
「いいよ!だっからまた追いかけるから!ジョミーはどこに転校するの!?」
物思いに耽っていたジョミーは、拳を握り締めて決意を新たにする赤い髪の少年を振り返り、怪訝そうに眉を寄せる。
「追いかけるって、無茶言うなよ」
「ジョミーが行くなら、どこまでだって追いかけるよ!」
「いや、そうじゃなくて……」
いつの間にか自分よりも背の高くなってしまった従弟の少年の頭を撫でて、ジョミーは軽く首を傾げた。
「あのさトォニィ、ぼくが今度転校するところは、女の子しか入れないんだ」
「………え?」
「女子校なんだって。パンフレットをみたらさ、制服とか清楚ででもすっごく可愛くて、よく似合いそうだなって……」
頬染めてそんなことをいうジョミーが可愛いよ!
そう叫びたい衝動を堪えて、清楚で可愛い制服を着て、長い金の髪を揺らして手を振る従姉の姿を想像する。
「トォニィ」
微笑みながら、その細い手が伸ばされて……。
「うん、ジョミーによく似合うよ」
たぶん。
どんな制服かも知らないままに、想像だけでジョミーになら似合うと断言すると、きょとんと目を瞬いたジョミーは、次いでおかしそうに声を上げて笑い出した。
「ジョミー?」
「ち……違う違う、ぼくが似合いそうだって言ったのは、ブルーのことだよ」
「……またその話……?」
見たこともない相手だけど、その話は聞き飽きた。
ジョミーが大好きだった、昔住んでいた家の『隣のお姉さん』。
活発に動くことが好きなジョミーが、動きにくいといいつつ髪を伸ばしているのも「隣のお姉さん」がその髪を好きだと言ったからで、赤はあまり好きではないといいつつ髪をまとめるときに赤いリボンを使うのも、「隣のお姉さん」がジョミーには赤い色が似合うと昔言ったからだ。
「あんなに可愛かったんだから、きっと今頃美人になってるだろうな……ブルーの銀の髪は月の光みたいに目に柔らかで優しくて、赤い瞳はキラキラして綺麗で、それに笑顔がとっても可愛くてね!」
「僕は太陽みたいに輝くジョミーの髪の方が綺麗だと思うし、笑顔が可愛いのはジョミーだよ!」
こんなに可愛いのに、別の女のことばっかり誉めることが気に食わなくて強く割り込むと、ジョミーは目を瞬いて、頭を掻きながら苦笑する。
「ごめんごめん、知らない人のことを聞いても、トォニィは面白くないよな。でも一目ブルーを見たら、トォニィも絶対に納得するって。お姉様なんて呼びたくなるかもしれないよ?あー、早く会いたいな」
わかっていないジョミーに苛々と舌打ちをしかけたトォニィは、最後の言葉を聞き咎めて眉を寄せる。
「早く会いたい?なに、次に引っ越すところにそいつがいるの?」
「え、言ってなかったっけ?ぼく、アタラクシアに戻るんだよ。しかも最高なことに、前の家がちょうど空いてからそこに戻れるんだって!」
浮かれて喜ぶジョミーを見ていると、こんなに一緒にいたいと訴えていることをどう思っているのだと面白くない。どうせジョミーは弟のようにしか見てくれていないとわかっていても。
「そいつが引っ越してないといいね」
「……え?」
うっとりと隣のお姉さんの成長した姿を色々想像していたジョミーは、拗ねたような声を聞いて振り返る。
「だってジョミーだって何度も引越ししてるじゃないか。十年変わらずに、そいつがそこに住んでるとも限らないだろ」
「そ………」
言葉に詰まり、大きくよろけたジョミーが窓枠に縋りつくように寄りかかる。
「そんなこと……考えてもみなかった……」
思った以上の反応が返ってきたことに、少し意地悪をするくらいのつもりだったトォニィは慌てて前言を翻して大きく手を振った。
「で、でもさ、ジョミーのパパみたいに転勤を繰り返してるわけじゃないなら、まだそこにいるかも!三つ年上なら、まだ学生だし自宅通学の可能性が高いし!」
「そ……そうだよな……そうだよ、きっとあの家に引っ越したらまたブルーに会える。………ぼくとの約束、覚えてくれてるかな……」
少しの不安を残している様子で、それでも気を取り直したジョミーの呟きに、トォニィは天井を見上げて溜息をつく。
「覚えてても無効だと思ってると思うよ……」
女の子が女の子にプロポーズされたなんて話。
ジョミーがどれだけブルーを慕っていても、相手が女の子だから聞いていられたんだ。これで『ブルー』が男だったりしたら、確実に抹殺してやる。
そんな不穏なことを考えるトォニィの横で、ジョミーは来週の引越しを楽しみに遠い町を望んで窓の外へと視線を向けた。
――――――――――――――――――――――――
ブルーはジョミーを少年だと思っていて、ジョミーはブルーを少女だと勘違いしたままお姉様に憧れている、と。
ブルー←ジョミーな感じですが、多分再会したら逆転します。
普通は「かつとし」さんと読みそうで、実際その方はそうだったんですが、もう自分の中では「しょーちゃん!どうしたのこんなところに!」の気分に(笑)
で、タイトルです。
「かつとし」さんではなく、ズバリそのまま「しょうり」さんとお読みするお兄ちゃんを持っている魔王陛下が主役の『今日からマ王!』をテラメンバーを配役して、妄想でにやにやしてました。だから真面目に仕事しなさい(^^;)
テラとまるマで配役するなら、中の人繋がりでヴォルフラム→ジョミーが普通だと思うのですが、ここがこの記事のタイトル。
「今日からあなたがソルジャーです!」
をリアルで体験したジョミーが有利というのもいいなあ……と。
それでいくと押しかけ婚約者はトォニィとか、妖艶な先代魔王がブルーということに……ってめちゃくちゃ似合うんですが(笑)
自由恋愛主義で恋多きソルジャー、なんてことになったら、ブルーの場合は本当にモテモテそうでしゃれにならない(^^;)
そんな感じで今日マのあのシーンをブルジョミ変換。
おめでとうございます!今日からあなたはソルジャーです!
「なんて……言われても……」
クリーム色を基調とした上品な壁。湯気でかすれて見えるほど高い天井。
壁から生えたライオンの彫刻の口からは湯が絶えず流れ出て、広い浴室を湯気で満たす。プールのような広い浴槽の端に身を沈め、ジョミーは大きな溜息をついた。
成人検査の途中で何やらイレギュラーが起こったらしいと思えば、急に処分だとか銃を向けられ、そうかと思えば今度は空を航行する船に連れてこられて今日からソルジャーだって……。
「訳わかんないよ……」
膝を抱えて深い溜息を零す。
「大体ソルジャーってなんだよ、ソルジャーって……」
「我らミュウを導き、守る者のことだよ」
一人きりだと思っていた浴室に、良く通るテノールの声が響く。
驚いて激しい水音を立てながら振り返ったジョミーのすぐ傍に、白い足が滑り降りてきた。
「だ……っ」
誰だ。
そう誰何するよりも、その足の先を目で追いかけて慌てて目を背ける。湯気でよく見えなくて幸いだったことに、いきなり人の入浴中に乱入してきた人物はタオルも何も身につけていなかった。
人の入浴中といっても、この広い風呂だ。何人入ってこようとそれは構わない。本来なら構わないはずなのだが……。
「な……んで……?」
「どうかしたかい?」
やはり涼しい声で、そう訊ねてくる。その声が耳のすぐ後ろから聞こえて、背筋を妙な感覚が駆け上る。
「なんで……そんな、くっついて座るんだよ!」
泳いで記録でも測れそうな湯船なのに、なぜ肌が触れ合うほどに寄り添って座るのか。
相手が完全に湯船に入った頃合を見計らって振り返ったジョミーの目に、赤い色が広がった。
それがぶつかりそうな距離にいた男の瞳なのだと気づくまでに一拍。
近すぎて咄嗟に判断し切れなかった男の容姿に気づくまでに一拍。
耳に心地の良いテノールの声に相応しく、男の口元は微笑で彩られている。その上に続く高い鼻梁に、赤い宝石のような瞳。
しばし全ての動きと思考を停止したジョミーに、男は笑みを浮かべたままそっとジョミーの頬に手を伸ばした。浴槽から挙げた腕の白い肌から、滑るような雫が滴る。
「君を待っていた。ずっと……永い時を」
濡れた手が、微かに触れたことが合図のように、ハッと正気に戻ったジョミーは慌てて身体を後ろに引いた。
広い風呂にはしゃいで暴れる子供のように、慌てて水しぶきを立てながら急に現れた男から離れようとして、小さく含むような微笑が耳に滑り込む。
「可愛いね、ジョミー」
逃げようとしたのに、いつの間に回されたのか、後ろから伸びてきた手に腹を抱え込まれて抱き寄せられた。
―――――――――――――――――
この後ジョミーは全力で逃走。
あ、ブルーがまだ名乗ってなかった。
あまりにもブルーが押せ押せ過ぎて、ジョミーが食われるのは時間の問題。
このブルーだと元気すぎて、次代のソルジャーを探していたというより、ソルジャーの自分と共に生きていける伴侶を探していたの方が合う気がします……。
しかし空飛ぶ船でこんなに水を大量消費する風呂はいけないだろう(笑)
こんな感じで色んなパターンを妄想してました。だから仕事しなさいってば(^^;)