日々の呟きとか小ネタとか。
現在は転生話が中心…かと。
No.76 永遠の刻1
Category : 小話・短文
いい加減に……と思うのですが、またも突発でダブルパロ。吸血姫美夕のパロです……。
ヴァンパイアものといえば、ブルーが吸血鬼なことが多いかと思うのですが(あの容姿だし。ものすごくハマる)、あえてジョミーがヴァンパイアで。
……ということを考えていると、いつの間にか美夕に辿り着いたという。
でもジョミーは男の子。
体格的にはラヴァはハーレイとかキースが適役な気がするんですが、ここではブルーで。血の契約はしていても、ラヴァと違ってブルーがジョミーの下僕ということはないです(^^;)
前・中・後編くらいで終わってくれたらと……。
死んでしまったジョミーの小鳥。
小さなジョミーは冷たくなった小さな身体を、泣きながら両手で擦り合わせて温めようとする。こうすれば、小鳥が息を吹き返すのではないだろうかと。
ふわりと背後に人の気配を感じて振り返る。すぐ傍に、一人の青年が佇んでいた。
いつの間にこんな近くに人が来ていたのか。
銀の髪と赤い瞳。白皙の面は整いすぎて冷たい感じがする。
「……お兄ちゃん……だぁれ?」
白と銀の服に藤色のマントを羽織った青年は、グローブを嵌めた手でそっとジョミーの頬に触れた。
「どうしたんだい?何を泣く」
この世の人とは思えないほどに美しい青年は、その容姿に相応しくまるで音を奏でるような声で言葉を紡ぐ。
きっとこの人は……人ではないのだ。
ジョミーは両手に抱えた小鳥を引き寄せ、青年から守るように胸に抱き込む。
「ぼくの小鳥、連れて行かないで」
「小鳥?」
ジョミーが抱き寄せた両手に目を向け、青年は首を傾げる。
「その子はもう死んでいる」
「ぼくの小鳥、まだほんの少し暖かいんだ。だからこうしていればきっともう一度飛んでくれる。連れて行かないで」
「ふむ……僕を天の使いとでも思ったのかな」
青年は指先で軽く顎を擦り、おもむろにグローブを外す。そうして伸ばされた手に、ジョミーは半歩下がったけれどそれ以上は動くことができなかった。
青年の手が、小鳥を包むジョミーの手に触れる。氷のようにひやりと冷たいそれに、ジョミーは大きく震えた。
「小鳥が暖かいのは、君の熱が移っているだけだ。いずれそれもなくなるだろう。その子は、土に還してあげなさい」
「でもっ」
「生命は、永遠ではないから美しい」
手の甲を軽く擦って、青年の手が再びジョミーの濡れた頬に触れる。ひやりとした感覚は同じだったのに、その指先の優しさに先ほどのように震えることはなかった。
「小鳥はその生命の限り生きたから闇に眠るのだよ」
「じゃあ……ぼくもいつか、この子のところへ行ける?」
ことりと首を倒して訊ねると、青年は赤い瞳を開き血のように赤い唇からひゅっと音を立てて息を吸う。
「……そうだね、いずれ、君も」
何かに驚いた風だったのに、青年はゆっくりと眉を下げて微笑んだ。
青年が微笑みを浮かべると、先ほどまでの冷たい氷のような、人形のような、そんな風にはもう見えなかった。
優しい、微笑み。
「さあ、僕も手伝うよ。小鳥を埋めてあげよう」
「うん……」
ジョミーが肩に頬を擦りつけるようにして涙を拭って頷くと、青年の手が優しく頭を撫でてくれた。
「……って夢を見た」
缶ジュースを片手に空を見上げてジョミーが今朝見た夢を語ると、一緒に登校していた友人はへえと気のない声を上げる。
「それってなんの深層心理だ?夢判断?」
「なんで夢判断なんだよ」
「だってジョミーが『小鳥が死んじゃった』なんて可愛らしく泣くなんてなあ」
「子供の頃の話だよ!それに6歳の頃に飼ってた小鳥が死んだのは本当にあったことなんだ」
友人はへえと同じ言葉を繰り返したが、今度は少し興味を惹かれた様子のものだった。
「その、人間とは思えない超美形に会ったのも?」
「そこなんだよ。そっちは曖昧なんだよなあ……でも子供の妄想にしちゃ、なんていうんだろう……想像の限界を超えてるっていうか」
「そこまでの美形となると逆に興味をそそられるな。でも男なんだろ?願望だったらお姉さんで見るよなあ」
「サムと一緒にするなよ。大事にしてた鳥が死んだときの夢だぞ。そんな色ボケしないよ」
「お前何気に失礼だよな……」
せっかく話を聞いてやったのにとぼやく友人に、もうひとつの夢は言わないことにした。
最近、夜になると誰かに呼ばれているような気がしてあまり眠れない。ジョミーの名を呼ぶ相手が誰かは分からないけれど、その声も、ジョミーを囲む大きな影も、夢の青年とは逆の意味でこの世のものとは思えない。
微笑むと優しかった青年とは違い、影はただ恐ろしい。
ジョミーは飲み終えた缶ジュースを通りがかりのゴミ箱へ放り込むと、隣の自動販売機で清涼飲料を買う。
「ジョミー、まだ飲むのか?腹壊すぞ」
「最近やたらと喉が渇くんだよ。飲んでも飲んでも足りない気がして」
「ああ、そういうことってあるよな」
プルタブを上げて一口飲んだところで、人の視線を感じた気がして横に目を向けた。
街路樹の陰に人が佇んでいる。
先を歩く友人の後を追いながら、その人物に目を向けていると、どうやら気のせいではなく青年もジョミーを見ているようだった。
黒い髪の、背の高い男。
ジョミーと目が合うと、男は途端に眼光を鋭く睨みつけてくる。
「ひ……っ」
「なんだ、どうかし……」
「な、なんでもないっ」
小さな悲鳴を聞いて振り返ろうとしたサムを小走りで追いかけて、その腕を掴むと振り返らずに走り出す。
見たこともない男に睨みつけられた。しかも尋常ではないほどに鋭く、敵意なんてものではまだ甘いくらいのきつい視線で。
関わらない方がいいだろうとサムを引っ張って急いで学校へ向かいながら、それでも気になってつい肩越しに振り返ってしまった。
だが街路樹の傍には、もうだれも立ってはいなかった。
ヴァンパイアものといえば、ブルーが吸血鬼なことが多いかと思うのですが(あの容姿だし。ものすごくハマる)、あえてジョミーがヴァンパイアで。
……ということを考えていると、いつの間にか美夕に辿り着いたという。
でもジョミーは男の子。
体格的にはラヴァはハーレイとかキースが適役な気がするんですが、ここではブルーで。血の契約はしていても、ラヴァと違ってブルーがジョミーの下僕ということはないです(^^;)
前・中・後編くらいで終わってくれたらと……。
死んでしまったジョミーの小鳥。
小さなジョミーは冷たくなった小さな身体を、泣きながら両手で擦り合わせて温めようとする。こうすれば、小鳥が息を吹き返すのではないだろうかと。
ふわりと背後に人の気配を感じて振り返る。すぐ傍に、一人の青年が佇んでいた。
いつの間にこんな近くに人が来ていたのか。
銀の髪と赤い瞳。白皙の面は整いすぎて冷たい感じがする。
「……お兄ちゃん……だぁれ?」
白と銀の服に藤色のマントを羽織った青年は、グローブを嵌めた手でそっとジョミーの頬に触れた。
「どうしたんだい?何を泣く」
この世の人とは思えないほどに美しい青年は、その容姿に相応しくまるで音を奏でるような声で言葉を紡ぐ。
きっとこの人は……人ではないのだ。
ジョミーは両手に抱えた小鳥を引き寄せ、青年から守るように胸に抱き込む。
「ぼくの小鳥、連れて行かないで」
「小鳥?」
ジョミーが抱き寄せた両手に目を向け、青年は首を傾げる。
「その子はもう死んでいる」
「ぼくの小鳥、まだほんの少し暖かいんだ。だからこうしていればきっともう一度飛んでくれる。連れて行かないで」
「ふむ……僕を天の使いとでも思ったのかな」
青年は指先で軽く顎を擦り、おもむろにグローブを外す。そうして伸ばされた手に、ジョミーは半歩下がったけれどそれ以上は動くことができなかった。
青年の手が、小鳥を包むジョミーの手に触れる。氷のようにひやりと冷たいそれに、ジョミーは大きく震えた。
「小鳥が暖かいのは、君の熱が移っているだけだ。いずれそれもなくなるだろう。その子は、土に還してあげなさい」
「でもっ」
「生命は、永遠ではないから美しい」
手の甲を軽く擦って、青年の手が再びジョミーの濡れた頬に触れる。ひやりとした感覚は同じだったのに、その指先の優しさに先ほどのように震えることはなかった。
「小鳥はその生命の限り生きたから闇に眠るのだよ」
「じゃあ……ぼくもいつか、この子のところへ行ける?」
ことりと首を倒して訊ねると、青年は赤い瞳を開き血のように赤い唇からひゅっと音を立てて息を吸う。
「……そうだね、いずれ、君も」
何かに驚いた風だったのに、青年はゆっくりと眉を下げて微笑んだ。
青年が微笑みを浮かべると、先ほどまでの冷たい氷のような、人形のような、そんな風にはもう見えなかった。
優しい、微笑み。
「さあ、僕も手伝うよ。小鳥を埋めてあげよう」
「うん……」
ジョミーが肩に頬を擦りつけるようにして涙を拭って頷くと、青年の手が優しく頭を撫でてくれた。
「……って夢を見た」
缶ジュースを片手に空を見上げてジョミーが今朝見た夢を語ると、一緒に登校していた友人はへえと気のない声を上げる。
「それってなんの深層心理だ?夢判断?」
「なんで夢判断なんだよ」
「だってジョミーが『小鳥が死んじゃった』なんて可愛らしく泣くなんてなあ」
「子供の頃の話だよ!それに6歳の頃に飼ってた小鳥が死んだのは本当にあったことなんだ」
友人はへえと同じ言葉を繰り返したが、今度は少し興味を惹かれた様子のものだった。
「その、人間とは思えない超美形に会ったのも?」
「そこなんだよ。そっちは曖昧なんだよなあ……でも子供の妄想にしちゃ、なんていうんだろう……想像の限界を超えてるっていうか」
「そこまでの美形となると逆に興味をそそられるな。でも男なんだろ?願望だったらお姉さんで見るよなあ」
「サムと一緒にするなよ。大事にしてた鳥が死んだときの夢だぞ。そんな色ボケしないよ」
「お前何気に失礼だよな……」
せっかく話を聞いてやったのにとぼやく友人に、もうひとつの夢は言わないことにした。
最近、夜になると誰かに呼ばれているような気がしてあまり眠れない。ジョミーの名を呼ぶ相手が誰かは分からないけれど、その声も、ジョミーを囲む大きな影も、夢の青年とは逆の意味でこの世のものとは思えない。
微笑むと優しかった青年とは違い、影はただ恐ろしい。
ジョミーは飲み終えた缶ジュースを通りがかりのゴミ箱へ放り込むと、隣の自動販売機で清涼飲料を買う。
「ジョミー、まだ飲むのか?腹壊すぞ」
「最近やたらと喉が渇くんだよ。飲んでも飲んでも足りない気がして」
「ああ、そういうことってあるよな」
プルタブを上げて一口飲んだところで、人の視線を感じた気がして横に目を向けた。
街路樹の陰に人が佇んでいる。
先を歩く友人の後を追いながら、その人物に目を向けていると、どうやら気のせいではなく青年もジョミーを見ているようだった。
黒い髪の、背の高い男。
ジョミーと目が合うと、男は途端に眼光を鋭く睨みつけてくる。
「ひ……っ」
「なんだ、どうかし……」
「な、なんでもないっ」
小さな悲鳴を聞いて振り返ろうとしたサムを小走りで追いかけて、その腕を掴むと振り返らずに走り出す。
見たこともない男に睨みつけられた。しかも尋常ではないほどに鋭く、敵意なんてものではまだ甘いくらいのきつい視線で。
関わらない方がいいだろうとサムを引っ張って急いで学校へ向かいながら、それでも気になってつい肩越しに振り返ってしまった。
だが街路樹の傍には、もうだれも立ってはいなかった。
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