前回、女の子ジョミーの話も好きだけど、公式でされるのはいや~とジタジタ我侭なことを叫んでいたら、アバターってなんですかというご質問をいただきまして、なるべく正しい説明をしようと調べました(この時点で遅い)
そう、それがなんなのか理解せずに暴れていたんですね。
……アバターって仮想の自分だったんですね。てっきりデータとしての内部アクセサリ的ものかと…。
そりゃ女性登録すれば、ジョミーもブルーもトォニィもキースも女の子になるよ!
ということで、ここで前回の我侭をお詫びしたいと思います。誰に向けてのお詫びかはよくわかりませんが……それが何かを理解せずに否定しちゃいけませんよね、ということで。
衝動で動く人間の悪い癖です。
ところで公式携帯サイトのテラ検定も受けてみました。わりと簡単かなあと思っていたら、ときどき「あれ!?これなんだっけ?」な設問まであってちょっと面白かったです。
リロードしても同じ問題が出たりするので、いっそ全問一気に受けたいです……。
喉が渇く、喉が痛い、喉が熱い。
「―――う………」
眠ろうと目を閉じても、息苦しくて到底眠れそうもない。どれほど駄目だと戒めても、芳しい血の香りに喉が渇く。
ジョミーはたまらず目を開けた。
昼間でも渇くときは渇くが、夜の渇きは耐え難い。
起き上がったベッドで額を押さえて息を吐いた。
ちらりと視線を向けると、この渇きを増幅させる元が部屋の反対側の壁際のベッドで安らかに眠っている。
神魔が潜り込んでいる気配を捉えて編入した学校は、よりによって全寮制だった。しかも必ず二人部屋ときては、ジョミーにとって夜の時間は堪らない拷問だ。
気配に聡い彼が、どうやら今夜は飛び起きたジョミーにも目を覚まさなかった。
明かりを消した暗闇の中でも、ジョミーの目には昼間のように部屋の情景が何の障害もなく見える。
ジョミーは激しく心臓を叩く鼓動に胸を押さえながら、音を立てないように床に足を降ろした。
ふわりと綿毛のような柔らかな動作で、音もなく同室者のベッドの傍らまで移動する。
几帳面な同室者らしく、寝乱れた様子もほとんどなく仰向けに転がっている。
その首筋に目が釘付けだった。
……少しなら、少しだけなら。貧血になるほども貰わない。ほんの少し、喉の渇きを治めるぶんだけ…。
「だめだ」
伸びそうになった震える手を握り締め、ジョミーは強く目を閉じて唇を噛み締める。
これが必要な行為だなんて分かっている。これは食事なのだ。人が食事に家畜を屠殺することに比べれば、相手を殺したりなんかしない、少しだけ血をもらうだけの行為だと分かっていて、なお。
「………馬鹿だな……」
それでも、心のどこかが否定する。血を飲みたいだなんて、化け物になりたくない。もう今更遅いけれど。
我慢をしてもいずれ飲まなくてはならない。両親を助け出すためには、生き続けなくては。
そのためには、この『食事』にだって慣れないといけない。
分かっていて。
「ジョミー」
背後の闇が揺らぎ、密かやな声がジョミーの耳朶を擽る。
白い手が伸びてきて、後ろからジョミーを優しく包み込んできた。
「喉が渇いたのかい?」
「ブルー……」
助けを求めるように顎を僅かに上げ、後ろから抱き締める男の白皙の面を見上げる。
白い首筋が目に入り、ジョミーは強く目を閉じて首を振った。
「大丈夫、平気」
ブルーの香りは、一層ジョミーに飢えを自覚させた。
同じ神魔だからなのか、ブルーは誰よりも香り高い。
「平気ではないよ。無理をしなくていい」
そっとジョミーの髪に頬を摺り寄せると、ブルーが軽く床を蹴った。
音もなくジョミーを抱いたまま跳躍したブルーは、ジョミーのベッドに静かに舞い降りてジョミーを丁寧に降ろす。
そうしてジョミーと正面から向き合い、襟元を自らの手で寛げて広げた。
「さあ、飲んで」
「でも……」
「飲んで。人の血を吸うことが恐くても、僕ならもう既に何度も飲んでいるだろう」
「だ……だからじゃないか」
白い首筋が眩しくて、眩暈を覚えるような甘い香りが息苦しくて、ジョミーは顔を背けた。
「少し前にもブルーの血を貰った。ブルーからばっかりもらったら、ブルーの血が足りなくなる」
「でも君は、人の血は吸いたくない」
「神魔から貰う。ここに入り込んだ神魔を闇に還す前に……」
「そう言って、一度も飲んだことがないくせに」
白く細く長い指がジョミーの顎を捕らえて、ついと優しい力で顔を上げさせた。
見上げてしまった赤い瞳に、囚われる。
赤い、赤い、瞳。
神魔の血を飲まないのなんて、だって仕方がない。神魔を闇に還すときは、いつだって誰よりも香り高いブルーが傍にいる。それなのに、他の獲物になんて目の向きようがない。
唇を噛み締めたジョミーに、ブルーはくすりと笑って指先で頬を擽った。
「大丈夫だよ、ジョミー。僕は神魔だ。ヒトじゃない。少しくらい君が血を飲みすぎても命の別状どころか行動にも支障はない」
「けど」
「君が渇きを耐えている悲鳴が聞えると、僕は何よりよりつらい」
さあ、と再び白い首筋をさらされて、ジョミーは泣き出したくなった。
耐えられない。
この喉は、舌は、ブルーの血を既に知っている。
鉄錆の味が広がるのに、同時に蜂蜜のように甘い。芳醇なワインのようにジョミーを酩酊させ、溺れさせる。
「ブルー………」
手が、伸びた。
白い首にジョミーの腕が絡まり、捉えて逃さないように抱き込んでしまう。
ベッドに膝で立ち、その白い首筋に唇を寄せると、ブルーはそれを待っていたようにジョミーの細い腰を抱き寄せた。
月明かりだけの部屋で、影が重なり甘い血の匂いが部屋を満たした。
「ごめん……ね……」
ベッドに落ちるように腰を落としたジョミーは、赤い血の付いた牙に触れながら俯く。
「どうして謝るんだい。これは僕の望みなのに」
俯いた頬に手を添えて、上を見上げさせる。唇の端から零れた赤い雫を指の腹で拭うと、色を薄めながらジョミーの唇を彩った。
ぞくりと悪寒にも似た感覚が、ブルーの背筋を駆け上る。
ジョミーの唇を濡らし、汚すものが己の血であるという事実。
この瞬間がたまらなく愛しくて、他の誰かの血で代用されることが耐え難い。
いずれジョミーはブルー以外の者の血でも口にするようになるだろう。本当は、そうできるようにブルーが手を回さなくてはいけないのだ。
たとえば、ブルーの手で血を採取して、器に入れてジョミーに渡す。直接ヒトの首に噛み付くより、ジョミーの抵抗は幾分少ないはずだ。
そうやって血の味を覚えて、少しずつ他の者の血に慣れさせる。
従者として、ブルーが主のためにしなくては、ならない。
けれどできない。したくない。
多少の血を飲まれても支障がないというのは事実だ。
ジョミーを守るために必要な力を確保できるなら、ジョミーが口にする血はブルーのものだけであって欲しい。
「これはね、僕の我侭なんだよ……」
繰り返し囁いてブルーが身を屈めると、ジョミーは応えるように目を閉じる。
重ねた唇は、鉄錆のような味がした。
ブルーにとっては吐き気を催すような味だが、ブルーがこのとき味わっているのは、ジョミーの柔らかな唇であり、血の匂いの奥にある甘いジョミーの唾液だ。
ジョミーの小さな手が震えながらブルーの服を握り締め、口付けに応えるように自らも舌を絡まる。
「ん……」
僅かな息継ぎの間を空け、再び唇を重ねると、ゆっくりとジョミーの身体をベッドへ横たえた。
濡れた音を立てて舌を絡ませ、ジョミーの足の合間に膝を割り込ませると、ジョミーの足が甘えるようにブルーに擦りつけられる。
「………ブルー……」
濡れた瞳で覆い被さるブルーを見つめ、濡れた唇で甘く名を囁く。
ブルーもまたその声に、吐息に、酩酊するような甘い眩暈を覚えた。
誘惑の中でもう一度だけジョミーと唇を重ねる。
今度は触れるだけですぐに離れ、ジョミーの頭を抱えてその隣に横たわる。
「もうお休み。疲れただろう?明日も神魔を探さなくては」
「うん。……あのね、ブルー。朝までこうしていてくれる?」
「君が望むままに」
髪を撫でて耳元で囁くと、ジョミーはようやく笑みを零して、ブルーの胸に甘えるように擦り寄り、目を閉じた。
さくっと更新できなかった……orz
書いてる途中で意識がオチてました。あわわ……変なところで記事投下してなくてよかった……。
目次
夢はあくまで夢であって、この状態とは何の関わりもない……はずだ。
今朝はジョミーの迎えを断わり、病院へ行って新たな鎮痛薬を処方してもらったものの、いまだ薬を飲んでいないにも関わらず、痛みは耐えられないほどではない。
薬と相性の悪いブルーにとって、飲まずにすむなら薬など飲みたくもないものなのでそれは構わないのだが、昨日の夢が妙に気に掛かって仕方がない。
ブルーはなんともすっきりとしない心境のままに、正当な理由で遅刻した校門の前で学生証を取り出して、所定の差込口を通過させた。
『チェックします。カメラの正面に立ち、名前と遅刻理由をどうぞ』
映像が出た校門のモニターに、ブルーは僅かに息を吐いた。
「ブルー・イリアッド。病院へ寄っていたために遅れました」
『網膜パターン照合クリア。通行を許可します』
重厚な門扉が音を立てて開いて行く。
生徒の安全のため、学校の敷地内のおける自治権を保持するために、こうして予定外の時間の通行者はすべてチェックを受けなければならない。そういう些細なチェックも、ブルーは好きではない。
面倒だからではなく、この嫌悪感はESP検査に向けるそれに近い。
「つまりは、機械が気に食わないのでしょう」
とはあの気さくな友人の言だ。僕もあまりチェックは好きではありませんけどね、と付け足して。
恐らくそういうことなのだろう。
人が嫌いでミュウが嫌いで機械が嫌い。とんだ我侭だ。抵抗なく許容できることのほうが少ないのではないだろうかと、我ながら訝るほどに。
ちょうど次の授業の準備時間に到着したらしく、ブルーは喧騒の正面玄関に足を踏み入れた。
本館と別館を繋ぐ連絡口にもなる場所に人がいることは当然のことだが、その中の声から、一つの名前を拾ってしまう。
「おいジョミー、急げよ!」
ジョミーなんて名前は珍しくもないが、ブルーがつい上を見上げると、教科書を小脇に抱えた一年次生が階段の半ばで振り返っているようだった。
「トイレに寄ってくから先に行ってていいよ」
まだ姿は見えないが、聞えてきたのはあのお節介な少年のものに違いない。
見つかれば遅刻理由を知っているだけに、また大丈夫かとか薬はどうなったとかを聞いてくるだろう。面倒だし、それ以上に彼の夢なんてものを見てしまったことが頭の端に引っ掛かり、ブルーはつい柱に身体を寄せるようにして隠れてしまう。
「なんだよ、腹でも痛いのか?早くしないと次の授業に遅刻するぞ」
「分かってるって」
ジョミーの友人らしき生徒は先に一人で階段を下りて、別館へ向けて駆けて行く。
トイレに行くなら、その間に階段を抜けられるだろうと身を寄せていた柱から無防備に離れると、階段の影から金色の光が見えた。
「ブルー!……先輩。もう登校できたんですか?病院に行ったって大丈夫ですか?」
避けたはずなのに、正面から見つかってしまった。
溜息をつくブルーに気づいた様子もなく、ジョミーは急いで駆けてくる。
ふと、その動きが少々気になった。ジョミーの表情はどこまでもブルーの心配しかしていないが、動きがどこかを庇っているような気がする。
「……トイレに寄るんじゃなかったのか?」
ブルーに触れそうになった指先が、ぴくりと震えて止まった。
「聞いてたの?」
なにか気まずいことでもあるのかと思った矢先、ジョミーは恥かしそうに頬を染めて唇を尖らせた。
「お腹が痛いのって波あるし、平気です」
トイレに行くだなんて大声で叫んだことを指摘されて恥かしかったのだろう。ましてジョミーは思春期真っ只中と言ってもいい歳だ。言わずもがなのことを訊ねたブルーは、珍しく素直にジョミーに申し訳ない気分になった。
「ぼくのことはいいんです!それよりあなたはどうだったんですか?」
「別に。新しい薬をもらってきた」
「眠気とか副作用は?」
「今は痛みがあまりなくて、まだ飲んでいない」
少し拗ねた様子だったジョミーは、痛みが少ないと聞いた途端に我がことにように喜んで手を打った。
「そう!よかった。薬がなくてもいいくらいには痛くないんですね。でも無理しないで下さいね。治ったわけじゃないんだから」
「分かっている―――」
ふと、まるで昨夜のような会話だと言葉が途切れた。正しくは、昨日見た夢の中会話のよう、だ。
痛みを誤魔化した……そう言ったのは彼だが。
「でも教室までは鞄を運びたいところなんですけど……」
ブルーを伺うように下から覗きこみながら、ついと細い指が伸びてきて、ブルーはそれを掴んだ。
「授業に遅れる。君は移動教室へ行け」
「はい。それじゃあ、また後で」
さすがにここでまでごねることはなく、ブルーが手を離すとジョミーは素直に別館へ向かって歩き去った。時間がないのに走らないとは随分と余裕だ。
「細い手だな……」
見た目から分かっていたことだが、直接触れるとまた驚いてしまう。あんな手に鞄を持たせているのかと思うと、自然に眉が寄った。
「違う。僕は気が済むようにと付き合ってるだけだ」
首を振小さな背中が別館に消えるのを見送って、自分も教室へ向かおうと振り返ったところで、再び数少ない顔見知りが階段を降りてきた。
ブルーも相手も、特にいちいち挨拶するような間柄ではなかったので、そのまま無視をしようと思っていたのに、珍しく呼び止められる。
「おい、ブルー。ちょうどいいところにいた」
「なんだい。もうすぐ君も次の授業があるだろう」
「お前は今日もジョミーと会うのだろう?ちょうどいい、これを渡しておいてくれ」
差し出されたのは、ローラースケートの靴だった。しかも片方だけ。
「忘れ物だ」
「直接渡せばいいだろう」
面倒だと渋れば、キースも渋い表情を見せて、断ったというのに更に靴をブルーに押し付けてくる。
「そこに確実に会う人間がいるのに、僕まで行く必要もあるまい」
合理的なキースらしい答えだが、どうにもその表情はすっきりしない。
僅かに眉を寄せていたキースは、ブルーの視線に気づいたのかやがて咳払いをした。
「……喧嘩をした」
「彼とか?それで気まずくて僕を使おうと?情けない!」
「なんとでも言え。それに気まずいわけではなく、こちらも奴の顔を見ると腹立たしいから会いたくないんだ」
「へえ、なるほど。けれど僕には関係のない話だ」
「これを投げつけられた」
「……これ?」
キースが差し出していた靴を揺らして、ブルーは思わず目を張った。本当だとすれば、随分危険な行為だ。
「サムに預けようかと思ったが、喧嘩などと彼に心配をかけることは本意ではない。こんなときに限ってマツカも捕まらん」
「だからって僕に渡すな」
「お前には注意しておきたかったことがあったからだ」
「またか……」
去年一年でキースにはなんど苦言を受けたことか。しかし今回はまるで心当たりがない。
眉を寄せるブルーに、ぐいぐいと靴を押し付けながらキースは肩を竦める。
「どうも奴は胸部を痛めているらしい。お前に言わないくらいだから大したことはないのかもしれんが、あまり無茶はさせるなよ」
「僕がいつ無理をさせた。あれは勝手に―――」
ブルーの責任のように言われるのは心外だと抗議しかけた意識に、不意に引っ掛かった。
「胸部?腹部ではなくて?」
「胸だろう。押さえていたのがお前と同じ、そこだった。あくまで違うと言い切る本人に、見せろと言ったらそれを投げられた」
「……見せろって、どこで?」
「ここだ」
キースは何でもないことにように床を指差したが、ここは正面玄関だ。いくらなんでもこんなところで服を肌蹴ろなんて、それはジョミーでなくても嫌がるだろう。さすがにスケート靴を投げつけたのは危険だが。
呆れているうちに、手に強く靴の一端を捻じ込まれた。つい反射で指が握ってしまう。
「とにかく、任せた」
キースはその隙に手を離し、ブルーが靴を落とさずにいたことを確認すると、さっさと身を翻してしまう。
「なっ……ちょっと待て!」
靴を握らされた方ではない左手でキースを掴もうとしたが、僅かに指先が届かずキースは素早く階段を登っていく。
「待て、キース!」
「とにかく、あまり無茶はさせるな」
気まずさから逃げているやつに言われるようなことではない。
不愉快に眉を寄せたブルーは、さっさと逃げ出したキースに舌打ちをしながら、ふと思い返した言葉に気を引かれた。
「……僕と同じ箇所を傷めているって……?」
偶然同じときに、偶然同じ箇所を、偶然顔見知りが怪我をする。
そんな偶然、珍しいどころではない。
ブルーは思わずローラースケートを片手に、別館へ首を廻らせた。
……夢は、夢のはず。
明け方に眠って、起きたら日が沈んでいました。あいたー。
これを読んでから、あともう1冊読んでから……漫画は全部読んじゃうか……気がついたら夜明けなんぞとっくに通り越して目覚ましテレビも始まってましたよ。今から寝るけど目覚ましテレビ。おはよう朝日、おやすみなさい……そんな朝でした。
ということで、ちょこてら楽しかったですv
当初はひとりで行く予定だったんですが、心優しい女神げんげさんが誘ってくださったので、一緒に行くことができました。待ち時間さえ楽しかった……!
昨日は一日舞い上がりっぱなしでしたv
職場で君はいつも通りの様子のままでパニクるなと言われるのですが、思わぬ方とお会いできたときもろくなご挨拶もできず……あとで思い返してそれに気がつくだめ人間……おま、いい歳して挨拶ひとつろくにできんのかorz 慌てると周囲が見えなくなるのも相変わらずでした。お、落ち着こうよ。
イベントではブルジョミ本を大人買い。他カプはストライクゾーンが超せまなので、大好きなサークルさんのものだけを購入でした。
商業誌と違って同人誌は買い逃すと二度と手にはいらない可能性も高いので、少しも我慢しません。東京とか行けないしね!と……結果、イベント用に多めにと分けていた軍資金を綺麗さっぱりすべて使い果たしました。インテじゃ同額で半分余ったのに(笑)
まだ小説本が丸っと手付かずなので、幸せはまだ続きます。
さらにさらに、イベント後はげんげさんとちむさんと香月レイアさんとご一緒させていただいて、食事にカラオケにテラの話と、やっぱり楽しい時間を過ごせましたv
ありがとうございます~~!!
非常に充実した一日。楽しかったです。
スタッフ様と参加された方、お疲れ様でした~!
困ったことも起きていることも事実……。
常々萌えの補給は原作とよそさまのブルジョミで~とかウハウハサイト巡りしているというのに、なぜでしょう。本を読むと萌えが広がると同時に、まるで昇華されるかのように、自分で書くのがどうでもよくなります。……幽霊にとっての念仏と一緒?
そこまで邪悪なのか、自分の萌え(^^;)
とりあえず、このまま放置しておくと書かなくなるのが明白なので、完全に成仏……じゃない、昇華しちゃう前に、自分の萌えを吐き出すことにします。今から頑張って書く。
本を読むわけにはいかなかった帰りの電車で携帯から打ってた転生の続きをさくっと上げたいと思います。
キース……自業自得とはいえ……ご愁傷様(^^;)
目次
その朝キースは教室の窓から、何気なく校庭に目を向けた。
朝の登校時間が終わり校門が閉まる合図のチャイムを聞きながら、今日も遅刻寸前の生徒たちが必死に走っているが、なぜあともう少し早く起きないのだろうと呆れるばかりだ。
「その閉門待ったーっ!」
そんな中、機械仕掛けで閉まって行く門に向かって叫んだ声が聞こえて、思わず額を押さえた。
人通りの少なくなった通学路を、同じく遅刻寸前の者たちを華麗に避けながら、ローラースケートで滑走する人物を知っていたからだ。
「ジョミー……」
溜息をついたキースの横から、ひょいと校庭を覗いたサムもまた溜息をつく。それはキースほど重くはなく、仕方のない友人を苦笑いするようなものではあったけれど。
「あーあー、早速遅刻寸前かよ。けど、今日は先輩はどうしたんだろう」
「大方寝過ごしてそれどころではなかったのではないか?」
「お迎え二日目にして迎えに行けずか……ジョミーらしいなあ」
そう言いながら、心なしか楽しそうな友人にキースは眉をひそめる。
「ジョミーはそんなに遅刻の常習者なのか?」
「あいつ、朝に弱いんだよ。低血圧だって」
「低血圧と目覚めの悪さの関連は医学的根拠が薄い。夜に眠る時間が遅いなど本当の理由が別にあるのだろう」
「あー、それな、アルテラが不思議がってたな」
聞き覚えのない名前と、今の話のどこが不思議なのかと、どちらを先に聞くべきかと考えているうちに、校庭では門が完全に閉ざされていた。
「おー、間に合った」
感心するサムの視線を追って校庭に目を向けると、閉門ぎりぎりに滑り込んだらしいジョミーが教師に掴まっていた。危険な駆け込み登校を注意されているのだろう。閉ざされた門の向こうの遅刻者たちも記録を取られているが、恐らくジョミーも違う名目で記録を取られるに違いない。
「やれやれ、馬鹿だなー」
窓を開けたサムが息を吸い込んだところで、階下から声が上がった。
「遅刻回避おめでとう、ジョミー!」
「それでもって二度目のチェックおめでとう!」
「うるさいなっ!拍手するなっ」
斜め下に位置する窓を見下ろすと、数人の男子生徒が窓から身を乗り出してはやし立てていた。おそらくクラスメイトだろう。
「相変わらず男友達ばっかだな、あいつ」
キースは苦笑しながら肩を竦めるサムを見上げて、校庭で拳を振り上げるジョミーを見下ろす。
「それがどうかしたのか?」
異性の友人がいてもおかしくはないが、同性の友人の方が多くても特に不思議なことはないだろう。
目を瞬くキースに、サムは「あー」と気の抜けた呟きを零しながら頭を掻いた。
「……なんだか段々面白くなってきたから、このままでもいいかな……」
「なにが……」
「ジョミー・マーキス・シン!早く教室へ入りなさいっ」
校庭で拳を振り上げていたジョミーは、後ろから教師に怒鳴りつけられて肩を竦めた。
そうして一呼吸置いて、正面玄関に向かって再び滑り始める。
ふと、その動きに違和感を覚えて席を立った。
「お!?そ、そんなに怒らなくても大した秘密じゃ……おい、どこ行くんだキース!」
楽しそうに頭を抱えたサムは、そのまま素通りしたキースに驚いて振り返る。
その不思議そうな顔を見て、キースはひとつ首を振った。
昨日から、サムは何かとジョミーの心配をしている。何も不確定な話をしてこれ以上心労をかけることもないだろう。事実がはっきりしてから話せばいい。
「すぐに戻る」
「もうすぐホームルームが始まるぞ!?」
驚くサムを後において、足早に教室を飛び出した。
どんな事情にしろ廊下を走ることは良しとはできないので、なるべく早く歩くことにする。
半ば走っているような速度で階段を駆け下りて正面玄関に辿り着くと、時間が時間だけに玄関は静かなものだった。
「い、ててて……」
そのがらんどうの空間で、壁際の傘立てに腰を掛け、引き寄せた足の踵を乗せてローラースケートの靴紐を解いたジョミーは、独り言のように小さく呟きながら眉を寄せて唇を噛み締めていた。
「やはり、どこか痛めているのか」
「うわっ!?キ、キース?」
驚いたように飛び上がったジョミーは、僅かに息を飲んで胸を押さえた。
だがすぐにスケート靴を片方脱ぎ捨てると、普通のシューズに足を通しながら首を傾げる。
「なんの話?」
僅かな変化を見逃していれば、信じてしまいそうな自然な動作だ。だがキースはジョミーが胸を押さえた一瞬を見逃してはいない。
「それよりこんな時間にこんなところにいるなんて、どうしたんだよ。もうすぐホームルームだろ」
もう一方の靴を脱ぎかけて両手が塞がっていたジョミーの腕を間をすり抜け、患部だろう胸に触れる。
「ここか?」
触れただけで分かるとは思っていなかったが、意外な手ごたえがあった。ただし、怪我とは関係のない手ごたえ。
もうすでに暖かい季節だというのにジョミーはまだかなり厚着をしているのか、僅かに柔らかいような気がした……直後、キースの手をジョミーが鋭く叩いた。
「なにするんだよ!」
ジョミーは眉を吊り上げて、胸元を掻き抱くようにして背を丸める。
「医務室へ行け。ブルーにあれだけ口うるさくしておきながら、君が不養生でどうする」
「怪我なんてしてないっ」
「なら見せてみろ」
「はぁ!?」
頭の天辺から出したかのような裏返った声を上げて両手で胸を抱き締めるジョミーに、ますます確信を深めて手を伸ばす。
どうしてこんなに意地になっているのか我ながら少々不思議ではあったけれど、サムが心配をするからはっきりさせておきたいのだろう。
キースの指先が襟元に掛かったところで、ジョミーが右手を振り上げた。
ぎょっと目を見開き慌てて首を捻ったキースの頬を掠めるように、大きなローラーが並ぶスケート靴が飛んで行った。後ろで壁にぶつかったらしい派手な音が上がる。
「なにをする!」
「こっちのセリフだ!この変態っ」
「へ……」
一応は心配して様子を見に来たというのに、随分な言われようだ。
「前にサムが言った通り、ほんっとにデリカシーがないなっ」
目元を赤く染めて殺気立った目でキースを睨み据えたジョミーは、鋭く足を振り上げた。
脛は人体の急所の一つだ。
さすがのキースも声を詰らせて、鈍い音を立てて蹴りつけられた脛を押さえて跪くのを、ジョミーは上から冷たい目で見下ろしてから身を翻す。
「くっ……き、貴様……」
「この痴漢男!」
捨て台詞まで残して、ジョミーは教室へ向かって廊下の角に消えてしまった。